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2016/12/21

信託法と相続法(沖野眞巳)その4

信託法と相続法(沖野眞巳)その4

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、 [3]相続による承継の早期の円滑な決定 です。

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者が将来権利を取得する
    ことが企図されると、それにより、相続人に不確定な
    義務や負担を課したり、相続にによる財産承継の円滑を
    阻害したりしかねないことから、そのような相続人に
    対する不確定な義務や負担の負荷の防止

 相続人に不確定な義務を課すことの不当性と。
 受遺者の承認や放棄を速やかに確定させる民法の趣旨があると(民987)。

 遺贈の場合、有効に成立していたとしても。
 下記の場合には、遺贈は遡及的に失効して、対象財産は相続財産に復する。

・受遺者の未存在が確定したとき
・全ての受遺者が放棄をしたとき

 このため、相続による承継は上記が明確になるまで確定しない。
 なるほど。

 では、信託の場合はどうか。
 こちらは事情が異なるのだと。

 未存在の受益者がいることの不確実性という論点については。
 このリスクは、既に受託者が引き受けていることで該当しない。

 また、信託は効力発生時に、確定的に相続財産から逸出するのだから。
 遺贈のように、不確定状況が続くということはないだろうと。

 受益者未存在が確定しても、受益権放棄となったとしても。
 信託が遡及的に失効するのではなく、信託の手続を踏んで終了するだけ。

 確かに、これをもって、信託が同時存在の原則を害しているとは言えない。
 続きます。

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