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2016/12/26

信託法と相続法(沖野眞巳)その5

信託法と相続法(沖野眞巳)その5

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、 [4]被相続人による処分範囲の限定

 …… 被相続人の死因処分ができる範囲を被相続人の死亡時に
    現存する主体までに限定するというねらいないし機能

 この場合の、同時存在の原則が示すものは。
 自らの死亡時における主体として存在していた者は処分先にできるが。

 自らの死亡時における主体として未存在の者は、処分先にできない。
 そのような限界付けだと。

 ここには政策判断があるのだと。
 死者の認識の及ばない主体には、財産取得を許容しないとの価値判断だと。

 信託法91条が、死亡時の後に登場する主体に権利取得を認める以上。
 この条文は、民法の同時存在の原則に抵触することになる。

 なるほど。
 ここで初めて、同時存在の原則が抵触する局面が登場するのだ。

 そして、抵触故に、これが信託法の解釈に影響するとの立場もあり得るが。
 信託法が、別の政策判断を採用したとの立場もとれるだろうと。

 つまり、上記の価値判断を乗り越えた価値判断を許容するとの判断ですね。
 当たり前と言えば当たり前ですが。

 沖野教授が言いたかったことを、自分なりにまとめると。
 要は、

〇同時存在の原則そのものが、そもそも価値判断、政策判断を含む
〇信託法が、同時存在の原則そのものと抵触する部分は実は1点だけ
〇しかも、その抵触部は、政策判断を含む部分であり、純粋理論ではない
〇であれば、民法の立場だけで、その当否を批判するのは実は不当だろう
〇判断すべきは、相続法制度全体での合理性判断が必要なのだろう

 こんなことではないかと。
 最後の方は、明示的に示されていないので、推測を含みますが。

 なるほどね。
 自明のようなことが、実はそうそう自明ではないんだよと。

 次の「遺言事項」は私には興味のない議論なので飛ばして。
 遺留分について、次に続きます。

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