カテゴリー「企業会計」の35件の記事

2017/02/03

会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す(第2回 継続性の原則-阪急電鉄事件)

会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す(第2回 継続性の原則-阪急電鉄事件)

会計・監査ジャーナル2017年2月号より。

〇会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す
 第2回 継続性の原則-阪急電鉄事件
 弥永真生(筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)
  第1審 大阪地裁平成15年10月15日
  控訴審 大阪高裁平成16年4月27日
  上告審 最高裁平成17年8月3日(上告棄却・上告不受理)

 阪急電鉄は、過去において、工事負担金を受領するも、圧縮記帳をせず。
 特別利益として損益計算書に計上していた。

 ところが、経営改善計画を策定し、減損会計導入等に備えて投資損失引当金を設定
 もし圧縮記帳処理していれば、147億円の法人税等を節減できた。

 このため、株主らが善管注意義務違反・忠実義務違反による損害賠償請求で。
 株主代表訴訟を提起したのだと。

 大阪地裁は、継続性の原則違反を例外的な場合に限ると判断した。
 高裁も、これを基本的には踏襲する判決だった。

 弥永教授によると、過去、圧縮記帳すべきか認める見解は商法では有力だったが。
 1980年代以後は、圧縮記帳すべきでない、が多数説になったのだと。

 大阪高裁は、これを踏まえて、正当な理由によらない会計方針変更と言えないと。
 その際に業種別監査委員会報告29号が、影響を与えたとの指摘がある。

 なお、国際会計基準での繰延収益処理つまり負債計上処理について。
 株主は正当処理と主張したが、当時の法務省はそうは認めていなかったと。

 なんか、ふーん、それで、なんですよね。
 私の読み取りが甘いんだろうな。

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2017/01/07

退職給付会計のしくみ

退職給付会計のしくみ

 退職給付会計の簡便法を勉強し直しする必要が生じて。
 本屋で漁った結果、この本が一番良さそうだと。


「退職給付会計のしくみ」
新日本有限責任監査法人編
中央経済社 2013年3月15日第1版第1刷
      2015年6月10日第1版第7刷発行

 下記で、自分用にメモを残します。

第5章 退職給付会計の簡便法

5-1 簡便法の概要
 小規模企業等においては、原則法ではなく、簡便法の適用が可能。

5-2 小規模企業等の範囲
 従業員300人未満の「小規模企業等」は、簡便法の適用が可能。
 ただし、300人以上でも、例外的に簡便法が適用可能な場合あり。

5-3 簡便法の計算方法

 簡便法による退職給付引当金
  =簡便法で計算した退職給付債務
    -年金資産の期末日における公正な評価額

 簡便法による退職給付費用
  =期末退職給付引当金
    ー(期首退職給付引当金
      ー(退職一時金支給額+年金拠出額))

5-4 退職給付一時金制度の簡便法

 簡便法による退職給付債務の計算方法(退職一時金制度)

 比較指数方式
  期末自己都合要支給額×比較指数
   一旦原則法によって計算した後の方法

 係数方式
  期末自己都合要支給額×割引率係数×昇給率係数
   実務指針による方法

 期末自己都合要支給額方式
  期末自己都合要支給額そのまま
   実務上最も採用される方法

5-5 企業年金制度の簡便法

 簡便法による退職給付債務の計算方法(企業年金制度)

 比較指数方式
  直近の年金財政計算上の責任準備金×比較係数
   一旦原則法によって計算した後の方法

 属性別区分方式
  在職従業員は、一時金における係数方式か期末自己都合要支給額で計算
  退職済の受給権者と支給年齢待ちの待期者は、直近の責任準備金額を使う

 責任準備金方式
  直近の年金財政計算上の責任準備金額をそのまま使う
   実務上最も採用される方法

5-6 簡便法の会計処理①

 実務で最も使われる方法の場合で
 年金資産がない場合

 簡便法では、原則法と異なり、遅延認識の概念がない
  未認識数理計算上の差異や未認識過去勤務差異は存在しない

  未認識数理計算上の差異
   期首で見積もった当期の費用と実際額との差額

 一時金支払時処理
  退職給付引当金/キャッシュ

 給付費用計上
  退職給付費用/退職給付引当金

5-7 簡便法の会計処理②

 実務で最も使われる方法の場合で
 年金制度採用なので責任準備金方式による計算

 掛け金拠出時
  退職給付引当金/キャッシュ

 給付費用計上
  退職給付費用 /退職給付引当金

5-8 算定方法の変更

 原則法から簡便法への変更は困難
 限定的な場合のみ可能

 変更は過年度遡及修正の対象外

コラム
 簡便法が簡便ではない
  決算ぎりぎりにならないと数字が判明しない
  年金資産の時価変動が決算に影響する
  このため予算が立てにくい

 特に企業年金制度に簡便法を採用している場合
 簡便法が簡便にならない

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2016/12/25

会員の懲戒処分について(会計士協会平成28年10月21日)

会員の懲戒処分について(会計士協会平成28年10月21日)

 継続的専門研修制度の受講義務違反による、会計士協会の懲戒処分公示ですが。
 かつて、資格三冠王と言われた方の名前がありました。

 で、懲戒処分の種別ですが。
 「会則によって会員に与えられた権利の停止(平成28年10月21日から会則第116条第3項違反の状況が解消したことが確認されたときまで)」

 つまり、受講義務を充足しないと、復活できない。
 そういう選択をしたということなのですが。

 さて、税理士会では受講義務未達成だと、一般公開するらしい。
 事前アナウンスがあっても、この業界では、どの程度意味があるか。

 なんか、恐ろしい事態は、十分予測できる。

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2016/12/23

複数の「公正ナル会計慣行」-長銀事件(弥永教授の新連載)

複数の「公正ナル会計慣行」-長銀事件(弥永教授の新連載)

 会計・監査ジャーナル2017年1月号より。

〇会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す
 第1回 複数の「公正ナル会計慣行」-長銀事件
  弥永真生(筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)

 民事事件・刑事事件の両方とも、最終的には最高裁に行ったので。
 都合6つの裁判名が冒頭に掲げてある。
 
 刑事事件の最高裁(平成20年7月18日)は、税法基準での査定について。

 過渡的な状況では、これまでの公正ナル会計慣行たる税法基準依拠について。
 直ちに違法であったということはできないと判事した(補足意見あり)。

 ここで、標題の複数の「公正ナル会計慣行」という話が出てくる。
 このように過渡的な局面で生じる他、中小会社では複数同時存在し得ると。

 うーん、前者はともかく、後者って、どこかで説明が補充されるのでしょうね。
 いろいろ問題を引き起こしている部分であり、結論だけではちょっと。

 で、民事事件の方は、高裁判決が、最高裁の不受理・上告棄却で確定。
 これは上記刑事事件と同じ日なのですね。

 で、不意打ち防止措置や、周知徹底などの5要件充足がなければ。
 新たな会計慣行は、法規範性として未だ未熟ないし不完全だと。

 つまり、複数の公正なる会計基準の競合が生じた場合に。
 下剋上が成立したというのには、それなりの要件が必要だと。

 なるほどなのですが。
 このような結論を裁判によって得ないといけないということが悲しい。

 金融庁が、従来の現場を軽視する態度は、今に始まったことではないのですが。
 結局、そのような行政は、後で余計に問題を大きくすることを学んでほしいと思う。

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2016/11/23

日商簿記「初級」新設、「4級」は廃止へ

日商簿記「初級」新設、「4級」は廃止へ

 そうか、内容が時代に合ってなかったのですね。


日商簿記「初級」新設、「4級」は廃止へ
2016年11月19日 20時55分

 (略)

 初級では、一般の会社員が業務上のお金の出入りを記録するため必要な、基本知識に内容を絞る。一方、4級は個人商店の決算書類の作成が出来るレベルが求められていたが、3級に統合する。

 初級の試験はインターネットを活用し、パソコンで受ける。

 日商簿記の15年の受験者は約58万人で、10年に比べて約14万人減少した。初級の新設には、受験者の裾野を広げる狙いがある。

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20161119-OYT1T50113.html?from=ytop_main7

 記事では、会社員をターゲットにしたように書いてありますが。

「簿記の基本原理および簿記の基本原理および企業の日常業務における実践的な簿記の知識」

 ということで、決算までは組めないけど、仕訳だけは分かるを目指すイメージか。
 日本商工会議所の発表資料に、試験画面イメージがあります。

「簿記検定試験検定試験初級」の創設について(日本商工会議所)

 で、ネットで受験ですが、自宅は会場にならないそうです。
 しょうがないとは言え、ちょっと思い切りが足りなかったかも。

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2016/11/15

非監査業務に注力し、監査業務の品質管理が脆弱との指摘

非監査業務に注力し、監査業務の品質管理が脆弱との指摘

 金融庁サイトでの勧告ですが、ドキッとする事務所もあるのでは。


監査法人よつば綜合事務所に対する検査結果に基づく勧告について(公認会計士・監査審査会)

 よつば綜合事務所って、神門剛先生が代表でしたね。

代表者紹介

 かつて、「留保金課税の実務」には、お世話になった気が。

 しかし、勧告における指摘内容は厳しい。

「1.業務管理態勢 最高経営責任者である代表社員(以下「代表社員 CEO」という。)は、非監査業務の拡大に注力する中、グループ法人の運営に主として従事しており、他の代表社員も、自己の個人事務所の運営に主として従事していることから、いずれの代表社員も当監査法人の品質管理業務にほとんど関与していないだけでなく、監査実施者の専門的能力が不足しているなど監査実施態勢が脆弱であることを認識していない。」

 要するに、税務中心なので、監査の品質向上意識がないだろうと。

「2.品質管理態勢 (独立性等の確認) 当監査法人においては非監査業務のウエイトが高く、またグループ法人から非監査業務を受託しているなど、独立性の確認手続は重要なものとなっている。しかしながら、 独立性の確認手続を職員に任せきりにしていることから、独立性の確認に関連して入手 すべき確認書について入手できていないものがみられる。また、インサイダー取引防止 に関連して入手すべき業務提供先の特定有価証券等の売買等を行わない旨の誓約書についても入手できていないものがみられる。」

 税務やコンサル中心だから、利益相反問題への意識も甘くなるでしょと。

「3.個別監査業務 代表社員 CEO を含めた業務執行社員は、不正に関連した監査の基準や収益認識に関連した項目を含め、現行の監査の基準で求められる水準に関する理解・知識が不足してい る。 このようなことから、会計基準に反する売上計上が判明し過年度の決算書を訂正するに至った監査業務において、職業的専門家としての懐疑心を発揮して不正による重要な 虚偽表示を示唆する状況に該当するかを十分に評価すべきであるにもかかわらず、被監 査会社の誤謬であるという主張を批判的に検討することなく受け入れている。」

 古い知識のままで、今の基準や実務にアップデートできていないと。

「このように、検証した個別監査業務においては、重要な不備が認められるほか、広範 かつ多数の不備が認められるなど、当監査法人の個別監査業務は著しく不十分である。 」

 うーん、ここまで書かれちゃうんだ。

 ただ、監査業務と税務業務を同時にやっている中堅公認会計士事務所では、決して他人事ではないでしょうね、これ。

 私は、現在、監査業務ゼロなので、この手の心配はないのですが。
 世の中厳しくなってきましたね。


 

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2016/06/05

上村教授の「日本の会計・監査制度」その3

上村教授の「日本の会計・監査制度」その3

 会計・監査ジャーナル2016年6月号より。

○日本の会計・監査制度
 -資本市場の中核を担える態勢とは(Ⅰ)
  上村達男(早稲田大学教授)

 続きです。

 ただ、会計士側の問題だけというわけではない。
 今の証券行政は、本来の在り方からはっきりズレている。

 東芝問題では、何故会計士処罰だけがスムーズなのか。
 会社自身の処罰は遅々として進まないのは、これで良いのか。

 上村教授の問題意識に、正直、なるほど、でした。
 単に、行政の対応のおかしさに憤慨するだけではダメ。

 どこに今回の問題の本当の根っこがあるのか。
 それは、自分達が本来やるべきことが何かを全員が自覚すること。

 自分以外の他人の批判ではなく。
 本人を含め、当事者が皆根本の問題に立ち向かわなければダメ。

 そもそも、資本市場法規制の中、会計・監査はどうあるべきなのか。
 もう一度、立脚点から考え直さなければ、業界に未来はない。

 関根愛子会長が、どんな判断・采配を見せるのか。
 それは分かりませんが。

 極論すると、この20年、業界は、基準の精緻化にあけくれた。
 国際化対応と言えば聞こえは良いが、本質の問題から逃げていた。

 しかし、もう一度問い直さなければならないのでしょう。
 何のために会計は必要で、何のために監査が必要なのか。

 それを万人が納得するように、何ができるのか。
 新執行部の課題は極めて重いのでしょうね。

 で、上村教授の稿は連載のようですので、次回も期待しています。

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2016/06/04

上村教授の「日本の会計・監査制度」その2

上村教授の「日本の会計・監査制度」その2

 会計・監査ジャーナル2016年6月号より。

○日本の会計・監査制度
 -資本市場の中核を担える態勢とは(Ⅰ)
  上村達男(早稲田大学教授)

 続きです。

 ところが、日本の会計・監査の理論的根拠はというと。
 実は、米国の資本市場対応型のそれだった。

 本来、継続性公準は、資本市場の継続が前提となる。
 費用収益対応原則も、同様で、それを踏まえた資産・負債観。

 しかし、企業会計原則も証券取引法もそんな意識はなかった。
 そもそも、原初形態から言えば、捻れが生じていたのですね。

 これが、バブル崩壊による護送船団方式行政が転換。
 一気に、市場規制型となり、資本市場規制が強化された。

 結果、会計や監査と縁遠かったような金商法の位置づけが変わる。
 会社法において、金商法適用会社として一体化することになる。

 原初の米国の連邦証券規制と一体の本来の論理に立ち戻る。
 そのような方向に、現在の会計・監査・市場法は向かっていると。

 なるほど、実は、期待ギャップというか認識ギャップが。
 会計士自身に生じているのを自覚できなかったのかもしれない。

 ある種会計優位の価値観が刷り込まれた人間が大半なのだから。
 金商法がいきなり中心になっていくのに、戸惑いさえあったろう。

 続きます。

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2016/06/03

上村教授の「日本の会計・監査制度」その1

上村教授の「日本の会計・監査制度」その1

 会計・監査ジャーナル2016年6月号より。

○日本の会計・監査制度
 -資本市場の中核を担える態勢とは(Ⅰ)
  上村達男(早稲田大学教授)

 結論から言えば、公認会計士には、必読の稿と思います。

 明治初期の株式会社は、上場会社が当然だった。
 募集設立とは、設立時にいきなり公募設立の意味だった。

 厳格な設立規制や厳格な資本規制は、上場基準の意義。
 資本充実原則とは、上場基準遵守の意義だった。

 つまり、株式会社は公開株式会社として存在していた。
 ところが、市場の担い手として、公衆を想定していなかった。

 当時の株式会社は、小規模閉鎖会社が対象であったし。
 証券取引法は、業者規制法であり、裁判規範ではなかった。

 このため、日本の会計・監査は独自の発展を遂げる。
 米国のように法律の圧力なく、それ自体の権威に依存できた。

 なるほど、言われればです。
 本来の在り方から離れた、歪んだ発展を遂げてしまったのだ。

 続きます。

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2016/04/02

こんな決算書どう分析しますか?(損益計算書の売上が減少している)

こんな決算書どう分析しますか?(損益計算書の売上が減少している)

 バンクビジネス2016年4月1日号より。

○こんな決算書どう分析しますか?
 第1回 損益計算書の売上が減少している
 山根孝一(中小企業診断士)

 売上を分解して、変動要因を考えよと。
 単価×数量に展開するもので、一般にユニット分析と言われるものですね。

 シンプルですが、基本と言えるでしょう。

 ここでは、飲食業なら、客単価×客数に分けられるだろうと。
 更に、客数を、座席数×座席回転数と分解できると。

 あるいは、客数は、時間帯別に分けて、ランチタイムなどでの区分も可能と。
 更に、曜日別、月別、季節別の展開を行うこともできると。

 客数以外に、メニューによって分けてみることもできると。

 また、オフィス向けグループウエア販売会社であれば。
 営業担当者別、商品別などに分けられると。

 なお、単価分析以外でも、同業他社や業界平均と比較するために。
 2次情報を入手することも大事だと。

 建設業であれば、国交省・総務省・経産省の統計などが使えると。
 このあたり、業界ごとのデータ管理は、業界団体もあるかもしれませんね。

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