カテゴリー「税務」の378件の記事

2017/02/24

要件事実と立証責任その3(ゼロからマスターする要件事実)

要件事実と立証責任その3(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年3月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第15回 要件事実と立証責任
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 続きです。

 司法研修所では、当初、親ルールに準拠していたが、これをある時期やめたと。
 請求原因=請求権の発生原因とのルールを絶対視するようになったのだと。

 この結果、多くの実務家は、親ルールを知らないままになっているのだと。
 へー、当然の話と思って呼んでいたので、びっくりです。

 なんと、司法研修所では、逆に、実体法の解釈を変更してしまって。
 上記ルールの貫徹を目指すようになり、学者との対立状況を招いたのだと。

 うーん、こういう状況って、不幸以外の何者でもないですね。

 要件事実を冠する本を手にとっても、書籍次第で書いてある内容が違う。
 とすれば、読者は混乱するしかないわけでしょう。

 著者は親ルールに戻るべきだと主張しています。
 この稿を読む限りでは、そうとしか思えませんね。

 ただ、何故そこまでして研修所は大転換を行ったのか。
 機会があれば、どなたかに伺ってみたいものです。

| | コメント (0)
|

2017/02/23

要件事実と立証責任その2(ゼロからマスターする要件事実)

要件事実と立証責任その2(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年3月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第15回 要件事実と立証責任
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 続きです。

 立証負担の転換により、請求原因の要件事実は、請求権の発生原因と同じになるとは限らない。
 その例示として、商品購入時の配送遅れによる損害賠償を挙げます。

 当然、履行遅滞は、損害賠償請求権の発生原因事実になる。
 しかし、原告に履行遅滞事実を証明させるのは「悪魔の証明」になってしまう。

 期限内履行が「なかったこと」を証明するのは無理。
 だからこそ、これは、一般に「悪魔の証明」と呼ばれているわけです。

 そこで、この場合は、公平性から、立証負担を逆転させているのだと。
 被告側で、期限内履行を立証すべき、とされているのですね。

 これは、理屈上の話だが、立証負担の逆転が法定されている場合もある。
 無権代理人の責任追及時に、被告は無権代理人だと原告が証明する必要はない。


・民法 第117条(無権代理人の責任)

 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

 2 前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは過失によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

 なるほど、被告は自分に代理権があることを立証すべきとされている。

 他にも法律上の推定・暫定事実などの法理論も存在しているのだと。
 ということで、法律要件分類説の考え方は大事でも、万能ではないよねと。

 続きます。

| | コメント (0)
|

2017/02/22

要件事実と立証責任その1(ゼロからマスターする要件事実)

要件事実と立証責任その1(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年3月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第15回 要件事実と立証責任
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 要件事実には、基本ルールがある。
  ・請求原因=請求権の発生現任
  ・抗弁  =請求権の消滅・発生障害・権利行使阻止事由
 これは、これまでの確認ですが。

 更に、その元になる、親ルールがあるのだと。
 立証段階の前段階である主張段階におけるものです。

 自己の要証事実は、自己が主張すべしというもので、当然ですね。
 要証事実とは、自己が立証しようとする事実のことです。

 請求原因として請求を基礎付けるため、原告は要証事実を主張すべし。
 この要証事実とは、通説たる法律要件分類説によれば、

  原告は、請求権の発生原因事実を立証すべし
  被告は、請求権の消滅・発生障害・権利行使阻止事実を立証すべしと。

 ここまでなら、わざわざ言わなくてもという感じですが。
 立証の負担の所在が転換される例外が存在しているというのですね。

 続きます。

| | コメント (0)
|

2017/02/02

粉飾法人の清算に関する諸問題

粉飾法人の清算に関する諸問題

 会計・監査ジャーナル2017年2月号より。

○租税相談Q&A297
 粉飾法人の清算に関する諸問題
 諸星健司(租税相談員)

 7年前に買収してきた子会社の状況が悪いので調査すると。
 多額の粉飾が発覚したが、3年分しか内容がわからなかった。

 事業継続をあきらめて、清算を行うように親会社の指示が出た。
 税務申告で注意すべき点は何かと。

 粉飾経理の場合、法法129①により、修正経理・申告が必要なので。
 まずは、粉飾部分の更正の請求だが、過去5年が最大限となる。

 本事案では、過去3年が判明しているので、この部分は更正の請求で。
 青色欠損金が生じるが、その他は更正の請求ができないことになる。

 ただし、調査結果を期首利益積立金額の減額処理を行うと。
 遡及修正会計基準の適用による修正再表示が前提ですが。

 で、青色欠損金額を控除して、期限切れ欠損金を求めてやって。
 債務免除益との相殺が可能になるよねと。

 あと、更正の請求が認められた場合でも、粉飾の場合は特例がある。
 基本は、減額更正時還付でなく、翌期以後5年で控除することになる。

 それでも還付を受けられない場合に、その時点で還付される。
 法人税法135条①③と70条が挙げてあります。

 本当は、135条③三を挙げておいて貰うべきだったのかなと。

| | コメント (0)
|

2017/01/31

一番わかる確定拠出年金の基本のき その7

一番わかる確定拠出年金の基本のき その7


一番わかる確定拠出年金の基本のき
 頼藤太希・高山一恵
 スタンダーズ株式会社 2016年10月20日発行

 続きです。

..P66

02 金融機関選びのポイント①
   事務手数料は口座管理料をチェック!

 国民年金基金連合会への支払分(加入時・その後)と
 口座管理料における事務委託先金融機関費用は同じだが、
 運営管理期間の手数料は、各社で大きく違う

 さらに、資産残高の額が一定以上になると
 運営管理期間手数料を無料にしている先がある

→ここは、手数料だけで決めないにですが。

..P70

04 金融機関選びのポイント③
   商品を持っているとコストがかかる!

 継続的に発生する信託報酬の額が高いと
 運用成績にも影響する

..P72

05 個人型確定拠出年金の口座を開設しよう!

 自分で選んだ金融機関に資料請求して、
 口座を開設する必要がある

 連絡して資料が来たら申込書を記入して返送

 その後国民年金基金連合会による
 加入審査があり、承認されると、
 「個人型年金加入確認通知書」が届く

 第1号被保険者の場合、以上で手続完了
 以後は、毎月指定日に、自分の銀行口座から
 掛金が自動的に引き落としされ、
 金融商品が購入される

 企業年金制度のない会社員の場合
 申し込み必要書類に
 「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る
  事業主の証明書」
 を同封する必要がある

  会社の人事部か総務部に提出して
  記入押印してもらうことになる

 掛金支払い方法は、給与天引きと
 個人払込の選択が可能

「個人でやるのだから、職場は関係ない」というのが
  単なる思い込み
だというのがわかります。

 ということで、なかなかいろいろ詰まった一冊でした。

| | コメント (0)
|

2017/01/30

一番わかる確定拠出年金の基本のき その6

一番わかる確定拠出年金の基本のき その6


一番わかる確定拠出年金の基本のき
 頼藤太希・高山一恵
 スタンダーズ株式会社 2016年10月20日発行

 続きです。

..P56

06 個人型確定拠出年金
   どこで申し込んだらよいの?

 国民年金基金連合会のサイトでわかる

 金融機関により商品品揃え、手数料、サービスの質が
 異なる

→国民年金基金連合会のサイトは絶対に押さえるべき。

..P60

08 確定拠出年金を60歳で受け取るには
   加入期間は最低10年!

 60歳から老齢給付として引き出せる
 ただし
 60歳時点で、DCの加入期間が10年以上であることが条件

→60歳からの受給は原則なので、自分がそうなるとは限らない。
 ちょっと注意でしょうね。

  企業型DCから個人型に移行した場合
  加入期間は合算で判定

  加入期間が10年未満の場合
  受給開始年齢が後ろにずれる

 個人型DC
  掛金拠出は60歳以降できない
  しかし
  60歳までに貯めた掛金を70歳まで
  利益非課税で運用できる

 口座振替日に掛金が引き落としできない場合
  その月の掛金は拠出できなかった扱いになり、
  その月は加入期間に含まれない

   掛金の前払い、後払いはできないので注意

→これは今後の制度で改善される見込みみたいですが。

 続きます。

| | コメント (0)
|

2017/01/28

自動移管となって年金資産が塩漬けになっているお客様

自動移管となって年金資産が塩漬けになっているお客様

 近代セールス2017年1月15日号より。

5 自動移管となって年金資産が塩漬けになっているお客様
 年金資産の運用が行われず不利益を被る点を伝える
  金指光伸

 転職前の企業で企業型DCを行っていたが
 転職先企業に企業型DC制度が存在しない場合
  転職した日の翌日から6ヶ月以内に
  個人型又は他の企業型DCに移管するか
  脱退一時金の請求を行わないと
  その資産は自動的に国民年金基金連合会に移管される
   この場合
   DC資産は運用されない
   毎月51年の管理手数料だけが差し引かれる

  転職時に手続きをしたかどうかの確認が必要

  なお、転職先に確定給付年金など、他の企業年金制度が
  ある場合でも、個人型DC(拠出限度額月1万2000円)
  に加入できる

…… これって、知らない人結構いそうな論点ですよね。

| | コメント (0)
|

2017/01/27

典型契約における「せりあがり」その3(ゼロからマスターする要件事実)

典型契約における「せりあがり」その3(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年2月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第14回 典型契約における「せりあがり」
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 続きです。

 今度は貸金返還請求訴訟で、訴訟物は返還請求権ですが。
 そもそも、これって、いつ発生するのかに争いがあると。

 ただし、平成23年以降、私法研究所民事裁判教官室は見解を決めて。
 返還時期が到来した時に発生するとの見解になっているのだと。

 でも、世の中では、消費貸借契約成立時に生じると思っているよねと。
 利息のカウントは契約成立時から始まるじゃないのと。

 更に、人的保証や物的保証も、契約成立時からつけられると。
 債権が生じているからこそでしょと。

 なるほど。

 で、請負の場合同様、請求原因の要件事実は、成立要件だけで良いかというと。
 返還時期到来が要件事実になることも加える必要があるのだと。

 本来、条件や期限は、阻止の抗弁になるはずだが。
 主張側が成立要件で終わると、相手の抗弁を含んで自己撞着になる。

 著者は、「オウンゴール」と表現しています。
 相手の言うべきことまで、こっちが言ってしまう矛盾が生じるわけですね。

 なので、請求原因主張段階で、本来再抗弁の要素も織り込んで主張すべしと。
 つまり、成立要件と効力要件との区分は絶対じゃないということなのかな。

 なお、これ以外に、履行遅滞の損害賠償請求において。
 反対債務に係る同時履行の抗弁存在効でも、「せりあがり」があるけど。

 説明は省略するとのこと。
 順番割り込みの図があると、わかりやすいのかな、という印象です。

| | コメント (1)
|

2017/01/26

典型契約における「せりあがり」その2(ゼロからマスターする要件事実)

典型契約における「せりあがり」その2(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年2月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第14回 典型契約における「せりあがり」
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 続きです。

 「せりあがり」理論で、請負での請求原因事実は、成立要件に限らない。
 「先履行の関係」にあることから、仕事の完成を加える必要があると。

 完成させないと、反対義務の履行を相手に請求できない。
 まぁ、当然ですね。

 ただ、であれば、ここで疑問が湧くでしょと。
 なぜ、請負人による注文主への完成品引渡しは、加わらないのだと。

 実は、完成引渡しは、先履行の関係にはないからなのですね。
 報酬の支払との同時履行の関係なので、せりあがらないのだと。

 著者は「先回りを……する必要がないのです」と言ってますね。
 なるほど。

 成立要件・効力要件と分けて、きれいにそれを順番にすれば良いだけでなく。
 実務では、それを修正しなければならないのですね。

 で、これは、委任・寄託の場合も同じ構造になるのだと。

 続きます。

| | コメント (0)
|

2017/01/25

典型契約における「せりあがり」その1(ゼロからマスターする要件事実)

典型契約における「せりあがり」その1(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年2月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第14回 典型契約における「せりあがり」
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

1 請求原因の要件事実

 請求原因の要件事実は何か。
 請求権の発生原因というのが、セオリーだと。

 しかし、例外があるのだと。

 1つは、保証債務履行請求の請求原因における「書面性」であり。
 これは既に扱っているわけですが。

 更に、民訴における「せりあがり」理論により場合があるのだと。
 その場合も、請求権の発生原因以外の要件事実が、請求原因に追加されるのだと。

 たぶん、人によっては「ん?せりあがりって何だ?」って感じですが。
 特に説明なく、そのまま説明が続きます。

 後の内容を見ると、順番が先に繰り上がるイメージですね。
 再抗弁で済む筈のものを、請求原因で主張しておかなきゃダメとするものがあると。

2 請負型の契約に基づく請求

 民法の典型契約のうちの幾つかについては、上記の例外になり得るのだと。
 代表例として、ここでは請負契約の報酬請求権が扱われています。

 普通に考えると、請負契約の成立が請求原因の要件事実だで良さそうだが。
 実務では、それ以外の要件事実があるのだと。

 「請負人が仕事を完成させたこと」であり、常識的。
 ただ、これって、要件事実の流れで言えば、本来位置と違いますね。

 著者が説明するように、再抗弁に位置づけるべきもの。
 それを、請求原因の段階で、主張させるようにしてある。

 本来の位置より先に来るので「せりあがり」と呼ぶのですね。

 続きます。

| | コメント (0)
|

より以前の記事一覧