カテゴリー「信託・信託法」の34件の記事

2017/05/19

式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載でJASRAC

式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載でJASRAC

 JASRACによる監視社会。
 いや、冗談じゃなくて。


式辞に歌詞引用、著作権料を 京大HP掲載でJASRAC
京都新聞 5/19(金) 5:00配信

 昨年ノーベル文学賞を受賞した米歌手ボブ・ディランさんの歌の一節を、京都大の山極寿一総長が取りあげた4月の入学式の式辞について、日本音楽著作権協会(JASRAC)がウェブ上に掲載した分の使用料を京大に請求していることが18日、関係者への取材で分かった。

 (略)

■「引用」議論になる可能性も

 著作権問題に詳しい岡本健太郎弁護士(東京弁護士会)の話 JASRACが踏み込んだ対応をしたという印象を受ける。ウェブにある式辞を見ると、引用部分とそれ以外が明瞭に区別され、ボブ・ディランさんの歌詞よりも山極総長の発言の方が多い。出典の記載もある。掲載されたのが大学の入学式の式辞という点を考慮すれば、引用と認められるのではないか。ただ引用と認められるためには、ほかの大学でのウェブ掲載の事例なども参考に「公正な慣行」と見なされることも必要となり、こうした点が議論になる可能性はある。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170519-00000001-kyt-l26

 信託の精神を理解していないのが、受託者たるJASRAC。
 彼らは、委託者の「心」を理解していない。

 お金を下さいではなく、きちんと評価して欲しい、鑑賞して欲しいのだ。
 何より、そこが先でしょう。

 なのに、委託者の創作物の利用への萎縮効果を生じさせる行為しかしない。
 そもそも、受託者として、選ぶべきではない相手を選んだ不幸。

 信託で、最もやってはいけないのは、信じられない受託者を選ぶこと。
 ところが、今はそれしか、現実的に選べない場合が大半だったりする。

 委託者の心を忖度できない受託者って、冗談の世界ですが。
 いや、彼らには、心を、使用料に換算してしか理解できないのだ。

 それは、委託者から受託者への信託が、定型行為として行われてしまうから。
 本来の、信託の精神を奪った、いわば潜脱的利用者、それがJASRAC。

 お抱えの学者さんもいるようですが、そこは口をつぐむのだろうか。

平成29年5月20日(土)7:09追記

 下記が本当であれば、誤解であったとお詫び申し上げます。
 ただ、基本的な態度については、何らコメントを変更する必要ないとの認識ですが。


京大HP「ボブ・ディラン」著作権料請求報道、JASRAC「請求していない」と困惑
弁護士ドットコムニュース / 2017年5月19日 13時45分

 (略)

JASRACによると、一般論として、ウェブ上では、営利目的がなくても著作権が働くことから、たとえ大学であっても手続きが必要な場合があるという。JASRAC広報課の担当者は「私どもが管理する著作物がウェブに掲載されていることを確認したので、利用状況について問い合わせし、一般的な利用手続きについてご案内した。具体的な請求はしていない。請求という話が一人歩きしているのは当事者双方にとっていい話でない」と困惑していた。

(弁護士ドットコムニュース)

https://news.infoseek.co.jp/article/bengoshi_6112/

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2016/12/26

信託法と相続法(沖野眞巳)その5

信託法と相続法(沖野眞巳)その5

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、 [4]被相続人による処分範囲の限定

 …… 被相続人の死因処分ができる範囲を被相続人の死亡時に
    現存する主体までに限定するというねらいないし機能

 この場合の、同時存在の原則が示すものは。
 自らの死亡時における主体として存在していた者は処分先にできるが。

 自らの死亡時における主体として未存在の者は、処分先にできない。
 そのような限界付けだと。

 ここには政策判断があるのだと。
 死者の認識の及ばない主体には、財産取得を許容しないとの価値判断だと。

 信託法91条が、死亡時の後に登場する主体に権利取得を認める以上。
 この条文は、民法の同時存在の原則に抵触することになる。

 なるほど。
 ここで初めて、同時存在の原則が抵触する局面が登場するのだ。

 そして、抵触故に、これが信託法の解釈に影響するとの立場もあり得るが。
 信託法が、別の政策判断を採用したとの立場もとれるだろうと。

 つまり、上記の価値判断を乗り越えた価値判断を許容するとの判断ですね。
 当たり前と言えば当たり前ですが。

 沖野教授が言いたかったことを、自分なりにまとめると。
 要は、

〇同時存在の原則そのものが、そもそも価値判断、政策判断を含む
〇信託法が、同時存在の原則そのものと抵触する部分は実は1点だけ
〇しかも、その抵触部は、政策判断を含む部分であり、純粋理論ではない
〇であれば、民法の立場だけで、その当否を批判するのは実は不当だろう
〇判断すべきは、相続法制度全体での合理性判断が必要なのだろう

 こんなことではないかと。
 最後の方は、明示的に示されていないので、推測を含みますが。

 なるほどね。
 自明のようなことが、実はそうそう自明ではないんだよと。

 次の「遺言事項」は私には興味のない議論なので飛ばして。
 遺留分について、次に続きます。

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2016/12/21

信託法と相続法(沖野眞巳)その4

信託法と相続法(沖野眞巳)その4

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、 [3]相続による承継の早期の円滑な決定 です。

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者が将来権利を取得する
    ことが企図されると、それにより、相続人に不確定な
    義務や負担を課したり、相続にによる財産承継の円滑を
    阻害したりしかねないことから、そのような相続人に
    対する不確定な義務や負担の負荷の防止

 相続人に不確定な義務を課すことの不当性と。
 受遺者の承認や放棄を速やかに確定させる民法の趣旨があると(民987)。

 遺贈の場合、有効に成立していたとしても。
 下記の場合には、遺贈は遡及的に失効して、対象財産は相続財産に復する。

・受遺者の未存在が確定したとき
・全ての受遺者が放棄をしたとき

 このため、相続による承継は上記が明確になるまで確定しない。
 なるほど。

 では、信託の場合はどうか。
 こちらは事情が異なるのだと。

 未存在の受益者がいることの不確実性という論点については。
 このリスクは、既に受託者が引き受けていることで該当しない。

 また、信託は効力発生時に、確定的に相続財産から逸出するのだから。
 遺贈のように、不確定状況が続くということはないだろうと。

 受益者未存在が確定しても、受益権放棄となったとしても。
 信託が遡及的に失効するのではなく、信託の手続を踏んで終了するだけ。

 確かに、これをもって、信託が同時存在の原則を害しているとは言えない。
 続きます。

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2016/12/20

信託法と相続法(沖野眞巳)その3

信託法と相続法(沖野眞巳)その3

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、[1]相続財産の帰属主体の継続性の保障 です。

 …… 被相続人からの財産承継において帰属主体が存しない
    無主の財産を一瞬でも作り出さないという要請

 これが、同時存在の原則の意義として、最も一般的だと。
 しかし、これは信託の場合は、問題にならないだろうと。

 無主の状況を作り出しませんから。

 次に、[2]法律行為の効力発生時に未存在の者への権利の付与 です。

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者は権利を取得しない
    という帰結

 信託法91条が、同時存在の原則違反と言われているのは。
 この[2]の点であると。

 権利あるいは権利取得の発生原因である法律行為の効力発生時に。
 未だ存在していない者に、受益者としての権利や地位が付与される。

 しかし、これは相続法固有の問題ではないと。
 権利能力の派生命題なのだと。

 信託の場合、未存在や不特定者を受益者とすることも可能だし。
 効力発生時に現に受益者が存しない信託の設定も可能である。

 ここで、委託者が最初の孫を受益者とする信託を設定した場合。
 一見すると、受益権が未存在者に付与されているかに見える。

 しかし、受益者が存在することが、受益権発生の停止条件だと。
 そう理解するならば、受益権は帰属主体空席にはなってない。

 そうですね。
 有効な権利になってないのだから、空席の議論はナンセンス。

 すると、[1][2]両方の意味で、信託は同時存在の原則と抵触しない。
 これは、ちょっと驚きました。

 続きます。

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2016/12/19

信託法と相続法(沖野眞巳)その2

信託法と相続法(沖野眞巳)その2

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、同時存在の原則についてです。
 4つの問題があるのだと指摘しています。

【技術的な側面】

 [1]相続財産の帰属主体の継続性の保障

 …… 被相続人からの財産承継において帰属主体が存しない
    無主の財産を一瞬でも作り出さないという要請

 [2]法律行為の効力発生時に未存在の者への権利の付与

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者は権利を取得しない
    という帰結

【実質や機能的な側面】

 [3]相続による承継の早期の円滑な決定

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者が将来権利を取得する
    ことが企図されると、それにより、相続人に不確定な
    義務や負担を課したり、相続にによる財産承継の円滑を
    阻害したりしかねないことから、そのような相続人に
    対する不確定な義務や負担の負荷の防止

 [4]被相続人による処分範囲の限定

 …… 被相続人の死因処分ができる範囲を被相続人の死亡時に
    現存する主体までに限定するというねらいないし機能

 続きます。

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2016/12/18

信託法と相続法(沖野眞巳)その1

信託法と相続法(沖野眞巳)その1

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 信託法が、相続法を潜脱する可能性を民法学者は意識して批判している。
 しかし、そもそも、その相続法の公序とは何なのか。

 同時存在の原則の重さにしても、そもそも自覚されていたか。
 また、遺留分以外の相続法の公序とはそもそも何たるか。

 実は、このあたりが、明確には意識できていなかったのではないかと。
 なるほどです。

 著者は、このような問題意識において3つを具体的に検討すると。

 [1]同時存在の原則
 [2]遺言事項
 [3]遺留分

 続きます。

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2016/10/05

「日本の相続問題と信託活用の有効性」関根稔

「日本の相続問題と信託活用の有効性」関根稔

 家族信託ガイド第3号(日本法令)より。

○Front Reiew
日本の相続問題と信託活用の有効性
関根稔(税理士・公認会計士・弁護士)

 taxMLでは、普段から、関根先生が仰っていることですが。

 民法の法定相続分に正義はあるのか、という話から入って。
 相続法制に依拠するのではなく、生前に信託を活用すべきだろうと。

 で、民法が配偶者の相続分を見直す契機は何だったのかというのに。
 婚外子の持分についての最高裁判決(H25.9.4)が原因だと喝破している。

 民法相続編の改正は、法律の現状と、法の下の平等との齟齬故だと。
 なるほどです。

 他に、樋口範雄教授が、対談記事で登場していますが。
 そうか、樋口教授は、医療法も研究対象とされていたのだなという感想。

 ところで、この雑誌では、執筆者が、何故か定形ポーズをとるのですね。
 とってない人もいますが、なんか私には違和感。

 いや、関根先生が普通の写真で、個人的にはほっとしました。

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2016/05/04

被後見人と親族関係にない人からの被後見人生活費保存のための信託利用例

被後見人と親族関係にない人からの被後見人生活費保存のための信託利用例

 月報司法書士2016年4月号より。
 「特集 司法書士と民事信託」の1つ。

○被後見人と親族関係にない人からの被後見人生活費保存のための信託利用例
 山崎芳乃(埼玉司法書士会)

 亡くなった父親が再婚した継母が、かわいがってくれていた。
 障害者支援施設に入っている被後見人を今後どうするかと。

 血の繋がらない継母は育ての親だが、養子関係がない。
 更に、血の繋がらない妹がいる。

 この妹は、母親の思いやる気持ちを大事にしてやりたい。
 ただ、自分が自分の生活をずっと犠牲にするのは避けたい。

 で、継母を委託者として、妹を受託者とする信託設定する。
 受益者は被後見人で、預金の一定額を信託で譲渡する。

 受託者は、後見人からの給付請求がある都度、払出する。
 生活費不足が生じたら、受託者は異議なく支払うこととする。

 ただし、受益者死亡で信託は終了する。
 残余財産は、受託者たる妹に帰属することにする。

 開始時期は、継母の死亡後とする遺言による信託。
 これは、継母が生前の信託契約を希望しなかったためだと。

 なるほど、こういう使い方もあるのですね。

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2016/01/20

先見の人だったデビッド・ボウイ CD不況を予測、音楽を証券化 死去で注目集める意外な功績

先見の人だったデビッド・ボウイ CD不況を予測、音楽を証券化 死去で注目集める意外な功績

 知らなかった。
 恐らくは著作権の信託を使った証券化ですね。


2016.1.17 18:00更新

先見の人だったデビッド・ボウイ CD不況を予測、音楽を証券化 死去で注目集める意外な功績

 (略)

 この手法は、著作権を手放すことも、印税が入ってくるのを長く待つこともなく資金を調達し新たな音楽活動に充てられるというメリットがある。

 このため、米黒人歌手のジェームス・ブラウンさん(1933~2006年)や英ロック歌手のロッド・スチュワートさん(71)、ヘビーメタルバンドのアイアン・メイデンといった大物アーティストが次々と同様の債券を発行。「プルマン債」と呼ばれるようになり、音楽や映画といったエンタメ産業の新たな資金調達方法として普及した。

 さらに、「ボウイ債」は従来は考えられなかったスポーツチームやパブ、高速道路のサービスエリアといったあらゆる資産を証券化する手法の先駆にもなった。資産運用会社の担当者はブルームバーグに「ボウイ債はその音楽と同じくらい画期的だった。大勢のアーティストが追随したばかりでなく、あらゆる資産を証券化するひな型になった」と語った。

「10年後、音楽は水道や電気のように」

 ボウイさんが新たな試みに挑んだのは、やがて訪れる音楽不況を予見していたためのようだ。2002年6月9日付のニューヨーク・タイムズ(電子版)のインタビューでこう語っている。

 「音楽産業の変革は10年以内に起き、誰にも止められない。10年後に著作権は存在せず、音楽自体は水道や電気のような存在になっているだろう」

 その予言は的中。無料や定額で音楽が聴き放題となるネット配信のストリーミングサービスが急成長。楽曲が売れない時代になった。

 ボウイ債は、その時代が到来する前に確実に利益を上げた。プルマン氏は米CNNテレビにこう語っている。

 「彼の死後も著作権が稼ぎ続けてくれるだろう」

http://www.sankei.com/premium/news/160117/prm1601170014-n1.html

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2015/12/12

浪費者信託(spendthrift trust)とは

浪費者信託(spendthrift trust)とは

 会計監査研究2003年3月号より。


○現代家族の変化と相続法制
 ―相続法の経済分析の試みと素描―
 林田清明(北海道大学大学院法学研究科教授)

 知りませんでしたが、「浪費者信託(spendthrift trust)」ってあるのですね。


3-2-2.信託

 (略)

 信託にはさまざまのバリエーションがあるが,浪費者信託(spendthrift trust)は,アメリカにおいて1800年代後半にほとんどの州で認められたものである。この信託の設定者のねらいは,受益者の債権者の手が届かない収入の道を提供することによって受益者の生涯に渡る財政的な安全を確保するものである。浪費者信託には,浪費者に限らず,自己の財産状態を適切に運営できないと推定される人たちを補助するためであり,「債務者の財産はその債務の責任財産に充てられるべきであるという債権者保護の要求と財産所有者の財産保存本能・無思慮な承継者の生活の安定に対する要求との調整という機能を担っている」と指摘される 。しかし,反対論もあって,たとえば受益者は贅沢して,債権者は苦しむ。また,自分のために浪費者信託を設定することはできないから,相続した富からの所得の方が労働から得られる所得よりも保護されることになる。

 (略)

(同上より)

 別の解説では、

 「浪費者信託は、意思能力の有無にかかわらず受益者による受益権の処分を禁止するというものである」
「統一信託法典 (Uniform Trust Code, Last Revised or Amended in 2005)」(契約書の翻訳)

 というものもありました。

 なるほど、これで債権者の手が届かなくなるわけですね。

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