カテゴリー「書籍・雑誌」の103件の記事

事業承継でハッピーリタイアする方法 泉正人

事業承継でハッピーリタイアする方法 泉正人
ダイヤモンド社

 正直、著者の考え方には素直に共感できない部分もあるが。
(「父は単に、仕事をする以外の生活を知らないだけなのだ、と。」P65)

 しかし、士業事務所の経営者の事業承継について当事者が語ったという意味では、あまり類書のない本。

 この著者の父親は、国際弁理士として事務所を20年間経営してきた。
 息子の3年がかりの説得で昨年ようやくリタイア。
 結果的には、別の事務所に譲渡する形をとったようだ。

 多分、みんなどきっとするのは下記か。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
 現に、僕が一度仕事をしたことのある70代の税理士の方は、考えられないような数字の間違いをしたり、書類の提出期限を忘れてしまったりしていました。
 もちろん皆が皆そうとは言いません。
 その税理士の方も、その年齢まで仕事を続けてこられたからには、素晴らしい能力を持った方でしょうし、もともとそんなミスばかりだったわけではないでしょう。ミスしたくてしているわじゃない。言ってしまえば、年齢のせいでしょう。

 (略)

 けれど本当に必要なのは、自分が歳をとったこと、能力が落ちているという事実に正面から向き合って、何か問題が起きる前に対策を講じることです。
(同書P18~19)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「親子兄弟会社の組織再編の実務」発売ですと!

 中央経済社から金子登志雄先生の「親子兄弟会社の組織再編の実務」がもうじき出るのだそうです!

 無対価再編をしっかり論じているというお話なので、今すぐ欲しい人が少なくないハズ(私は欲しい~)。

 なお、”天才”有田賢臣先生との共著「これが増減資・組織再編の計算だ!」の第2版も発売だとか。
 計算規則の改正に対応したものだそうです。

 うう、早く読みたい(でも、原稿書かないとなぁ)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解

 税理士・弁護士・司法書士向けの書籍ですが、ご紹介。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
「税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」
(ぎょうせい・関根稔、間瀬まゆ子/編著)

 …… 本書は、総勢38名に及ぶ執筆者(弁護士、公認会計士、税理士)が徹底議論のうえ、民法の実務では最も頻繁に登場する相続編を民法的な視点、税法的な視点から、民法相続編(882条-1043条)を解読・解説した一冊です。……

http://www.gyosei.co.jp/home/books/book_detail.html?gc=5107477-00-000
―――――――――――――――――――――――――――――――――

 私も執筆者の末席に入れて頂けたので、何人か知人の税理士・弁護士・司法書士さんに差し上げたところ、「こんな本が欲しかったんです」「危なく勘違いに気がついた」などの声を幾つも頂いた。

 うん、そりゃ、関根・間瀬コンビの本ですものね。

 念のために付言すれば、関根先生は、税法の世界では知らなきゃモグリの弁護士・会計士・税理士。taxMLを主宰。間瀬先生は、税務訴訟などでの活躍を知る人ぞ知る弁護士。
 このお二人で研修会をやると、抱腹絶倒なれど、最高に面白いんです、いやホント。

 なお、amazonはこちら

2009/09/19追記
 出版社のサイトによると、なんと売れ過ぎで在庫がなくなっている模様。すごいなぁ。もう
増刷なんだ。今頼んで10月とは。店頭はどうなんだろうなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

不透明な時代を見抜く「統計思考力」

○不透明な時代を見抜く「統計思考力」
神永正博
ディスカバー21 2009年4月15日第1刷発行

 著者は、自称「データ分析オタク」(東北学院大学工学部准教授)。
 データ分析が、自力でモノを考える際に強力な武器になるというのが著者の主張。

 著者は大事なことは3つだという。
 【1】データを先に見る
 【2】だれかが解釈する前のデータを見る
 【3】自分の仮説に反するデータも集める

 若者の読書離れについて、著者は、データから次のように言う。
 (1)小中高校生は、本を読んでいる
 (2)大学生は本を読まなくなっている
 (3)社会人(64歳以下)は、ネットと本を読む
 (4)65歳以上は、ネットの利用は少ない

 そして、(2)の原因について、大学の大衆化が最も大きいのではないかとする。

 つまり、大学生全体の平均読書時間が減っているのは、1つには「よく読んでいる層」以外に、「ほとんど読んでいない層」がどんどん大学に入ってきているからだと考えられます。
 最近になって、大学生が、見かけ上「読む層」と「読まない層」へと二極化したように見えますが、実際には、もともと違う層に属する若者が、スライドして大学に入学してきているだけなのではないでしょうか。「昔の」大学生と「今の」大学生は同じではありません。今や、男子の4年生大学進学率は5割を超えています。全員が昔と同じように本を読んでいると思うのは間違いでしょう。(P46)

 私の能力では検証できないが、なるほどって気はする。

 所得分布がべき分布(パレート分布)になっているという説明も面白い。


 つまり、高額所得者の上位1%(超高額所得者)は、その他の99%(庶民)とはまったく違う「べき分布」になっているのです。
 べき分布についてはのちほど詳しく説明しますが、一言でいえば、「極端な差が出やすい性質を持つ分布」のことです。
 庶民の所得は、差があるといっても数百万円程度ですが、べき分布の場合には、1億円の人がいるかと思えば10億円の人もいるという具合です。
 99%の庶民は、基本的には日々の給与で所得を積み重ねているため、差が小さくなります。これに対して、上位1%の人たちは、投資によって所得が決まるため、所得がが大きく変化しやすいためだと考えられています。(P122~123)

 対比で、正規分布については、次のような説明。


 このように、独立に変動する値が多数足し合わされると、正規分布に近い分布になります。(略)
 正規分布が重要なのは、独立に変動する値の足し合わせというのが、さまざまなところに現れるからです。たとえば、身長は骨の長さと椎間板などの骨と骨のつなぎめの長さ(厚み)の合計ですが、それぞれの大きさは独立に近いため、正規分布すると考えられます。(P147)

 試験の成績などは、正規分布が当てはまらないことが多く、ワイブル分布と呼ばれる、機械部品等の寿命分析で使われる分布になることが多い。これは、左か右のどちらかに偏った分布になっているのだという。


 試験といえば偏差値ですが、

 得点分布が正規分布から離れたもののときは、
 偏差値という尺度は適切とはいえない

のです。
 正規分布は非常に重要な分布で、現在の統計学の基礎理論は、かなりの部分、正規分布に依存しています。しかし、いくら頼りがいがあるからといっても、ちょっと頼りすぎという気がしないでもありません。
 あくまでわたしの見解ですが、どんな現象にでも機械的に正規分布を当てはめている場合が多すぎるような気がします。共通一次試験の得点分布は、正規分布の当てはめが適切ではない例です。(P152~153)

 で、正規分布の問題点について触れ、べき分布の重要性について語る。


 べき分布は、株価だけでなく、自然界のさまざまな現象を支配する確率法則で、正規分布とはまったく違う性質を持っています。
 べき分布と正規分布との最大の違いは、平均や分散が存在しないことがあることです。
(P170~171)

 で、LTCMの失敗は、正規分布によるリスク見積りによる失敗であったと言う。


 投資のプロでも、予想外の出来事でそれまでの資産をすべて失うような事態が発生する背景には、べき分布の存在があります。べき分布はワイルドな分布なので、現在の金融技術ではうまくコントロールできないのです。(P179~180)

として、分散投資が絶対安全だは言えないのだとする。

 部分的には既に読んだ内容もあったが、なかなか面白かった。
 一読をお勧めしたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「距離感」が人を動かす 大塚英樹

○「距離感」が人を動かす 大塚英樹
講談社 2008年8月20日第1刷発行

 著者はジャーナリスト。
、これまで500人以上の経営者にインタビューをしてきており、その人脈形成の中で培った人間関係の技術が「距離感」であるという。

 「人間関係においては、『相手に与えられるものはなにかを』常に意識することだ。」など、書いてあることは結構当たり前のことなのだが、中内功(ダイエー)や飯田亮(セコム)・関本忠弘(NEC)などの生の会話が出てくるので、結構面白かった。

 ただ、基本とは言え、「相手に会う意味を自分に問いかける」というのは、必要なことだなと改めて思わされた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

マルチ作家”栗本薫さん死去、「中島梓」の名でも活躍


 グイン・サーガも魔界水滸伝も天狼星も耽美ものも。
 作家であり、評論家であり、クイズ解答者であり、全てをこなすその才能には誰しも敬意を払っていたと思う。

 享年56歳。
 まだ逝くには早かったと思うが。

 合掌。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
マルチ作家”栗本薫さん死去、「中島梓」の名でも活躍

 大河SF小説「グイン・サーガ」のほか、ミステリー、文芸評論などマルチな才能で知られた作家の栗本薫(くりもと・かおる、本名・今岡純代=いまおか・すみよ)さんが26日午後7時18分、東京都内の病院で膵臓(すいぞう)がんのため死去した。

 (略)

 剣と魔法の支配する異世界で、豹頭(ひょうとう)の戦士が活躍する「グイン・サーガ」は、79年にスタートし、2005年に正編だけで100巻を突破、最新刊は126巻。一人の作家による小説としては世界最長と言われる。2007年にがんが見つかり、抗がん剤治療中だった。
(2009年5月27日11時33分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20090527-OYT1T00389.htm

| | コメント (0) | トラックバック (0)

知識ゼロからはじめる バカヤロー経済学 竹内薫

知識ゼロからはじめる バカヤロー経済学 竹内薫
晋遊舎 2009年5月20日発行

 サイエンスライターである竹内氏と「先生」との対談形式によって語られる「生きた経済学」の本。

 量的緩和の最終手段として、日銀を飛び越えて政府が貨幣を発行してしまえばいい、法的根拠もあるというのには驚いた。

 リチャード・クー氏が「地底人」と呼ばれているというのは、なるほどで笑ってしまった。
 経済学を学んでいる人にも一読おすすめ。

 なお、スキャンダルで失脚したことで共著者から名前を外した「先生」の名前は伏せてあるが、おそらく高橋洋一氏なのだろうな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

日本語の思考法 木下是雄

日本語の思考法 木下是雄
中央公論社 2009年4月25日初版発行

 中公文庫の1冊。
 かつて出た「日本人の言語環境を考える」を改題したものだとの由。

 木下氏は、「理科系の作文技術」の著者だと言えば分かる方も少なくないだろう。

 「リーダブルでない論文」の表現は、英語以前に問題があるとして、著者が指摘するのは4点。

 【1】主張があいまい
 【2】条件を書き落とす
 【3】ボトム・アップとトップ・ダウン
 【4】事実と意見の混同

 このうち、【4】は前著の読者は「あぁ、あの話ね」だろう。
 個人的に気になったのは、【2】。


 たとえば

  日本国の旅券をもっていればどこの国でも査証を発行して
  入国をみとめてくれるかというと、必ずしもそうではない。
  北朝鮮などは通常の手続きでは入国できないし、その他一般
  の国々でも事情によっては査証を拒否される場合があるので
  ある。

という外務省関係の説明文は、

  北朝鮮などは通常の手続きでは入国できないし

というところでたいていの人が引っかかって腑に落ちないという顔をする。
 ・・・・・・・・・・・
日本と正式の国交のない北朝鮮」と書いてくれればいいのだが、外務省関係者にとってはわかり切ったことなのでうっかりこの説明-条件記述-を書き落としているのである。
 同様のことは理工系の論文でもしばしば起こる。自分の研究室の中での<常識>は、となりの研究室に行けばもはや常識として通用しないのだ。
(P14~15)

 あと、【3】も(もしかして前著でも出てきていたのかもしれないが)。


 私はかつて米国人M氏と上記のようなことを議論していて、こういったことがある。

 (略)

 彼の反応はいささか意外なものだった。

ぼくらだって、自分で考えるときにはボトム・アップで考えている。しかしぼくらは、こどもの時から、人にものを説明するときにはトップ・ダウンで話しなさい、書きなさい、ときびしく仕込まれているんだ
                ・・・      ・・・・・
 Mの話に見られるとおり、ものを考えるときの順序と他人に話すときの順序とはちがえるべきだ。これは大切なポイントである。
(P18~19)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩 志川節子

手のひら、ひらひら 江戸吉原七色彩 志川節子
文藝春秋 2009年4月10日 第1刷発行

 ついに志川さんの著書が出た。
 半年ほど前から、準備中らしいよとUさんに聞いてはいたのだが。

 オール読物に掲載された、
・しづめる花
・うつろい蔓
・手のひら、ひらひら
・穴惑い
の4作に加えて、

・白糸の郷
・掴みの桜
・浮寝鳥
の3作が書き下ろされている。

 個人的には、「しづめる花」の続編となる「浮寝鳥」がいろんな意味で印象深かった。

 染里(お紺)の気持ちはもちろんだが。
 上ゲ屋として染里を仕込んだ紀六の最後の笑顔。
 狂わんとした小雛の笑み。
 そして、実は、清太郎の心にも強く心を揺さぶられる部分があった。

 虚の世界で、なんとか真実を見ようとして足掻く。
 それが、人間の悲しさであり、また美しさであるのかもしれない。
 そんな気持ちにさせられる1冊。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

相続対策できましたか お金はあの世にもっていけない 邱永漢

○相続対策できましたか お金はあの世にもっていけない 邱永漢
PHP研究所 2009年3月26日第1版第1刷発行

 邱永漢氏の新著。
 前著の「非居住者のすすめ」に続くもの。
 いくつか、印象に残ったところを。


 それが、自分もかなり年齢を重ねたのと、友人たちの家庭の内側を覗くチャンスがあるたびに、年を取るということは生きている間、家庭の恥をいかにして世間から隠すかということだと妙な確信を持つようになったことで、……(P16)

 なるほどという感覚。多分、若い時には分からない。


 東京や大阪のような大都会はもとよりのこと、地方都市の商店街でも、先祖代々続いてきた家業が廃業に直面していると考えるよりも、親の築いた家業を子供が継げないところに来てしまったのです。家業というものが成り立たなくなって、家業は一代限りのものになってしまったのです。(P83)
▽△
 ですから、家業を継ぐということと、親の財産を継ぐということは、切り離して考える必要があります。たとえ財産の大半が家業の中に残されているとしても、家産は家族の財産として家業から切り離して相続対策を考えなければならなくなったのです。(P98)
▽△
 しかし、その場合でも子供が跡を継がないことを想定して事業を進める必要があるし、子供が跡を継ぐ場合でも、家族の財産と事業の財産を分離して、あらかじめ相続対策をたてる必要があります。…… しかし、家業程度のスケールで、子供が跡を継ぐことができるかどうかの立場におかれている場合は、事業の継続を中心にして会社の組織づくりをする必要があります。一番問題が少ないのは、会社と家族をあらかじめ分離して組織づくりをすることです。もうそうするよりほかない時代になってしまったのです。(P104)

 家業と家産を分離する。
 言われてみればなるほどだが。
 ただ、できない人多数だろうな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧