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2007/11/14

留保金課税不適用での勘違いは怖い

 熊本いや九州の実力No.1を噂されるO先生からのネタ。
 もう既に「事故」が起きているかもしれないが、注意喚起で書いておくことにしたい。

 税制改正で留保金課税の適用は、多くの場合、19年3月期決算以降20年2月期決算まで、1回限りで考慮が必要というのはよく知られているだろう。19年改正税法適用後は資本金1億円超でないと適用対象外になるのだから(平成19年改正後法人税法67条)。

 問題はその1回を不適用でやり過ごすには、現状では中小企業新事業活動促進法(正式には「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」ここでは「新法」と呼ぶ)に基づいて承認を受けた経営革新を実施するしかないってことである。

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租税特別措置法 第68条の2
(経営革新計画を実施する中小企業者に対する特定同族会社の特別税率の不適用)

 法人税法第67条第1項の規定は、青色申告書を提出する特定同族会社(同項に規定する特定同族会社をいう。)で中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律第9条第1項の承認(同法第10条第1項の承認を含。)を受けた中小企業者(同法第2条第1項に規定する中小企業者をいう。)に該当するものが平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度終了の時において同法第10条第2項に規定する承認経営革新計画に従つて同項の経営革新のための事業を実施している場合における当該事業年度については、適用しない。
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中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律 第九条
(経営革新計画の承認)

 中小企業者及び組合等(以下この節及び附則第四条第一項において「中小企業者等」という。) は、単独で又は共同で行おうとする経営革新に関する計画(中小企業者等が第二条第一項第六号から第八号までに掲げる組合若しくは連合会を設立し、又は出資して会社を設立しようとする場合にあっては当該中小企業者等がその組合、連合会又は会社と共同で行う経営革新に関するものを、中小企業者等が合併して会社を設立しようとする場合にあっては合併により設立される会社(合併後存続する会社を含む。) が行う経営革新に関するものを含む。以下「経営革新計画」という。) を作成し、経済産業省令で定めるところにより、これを行政庁に提出して、その経営革新計画が適当である旨の承認を受けることができる。ただし、中小企業者等が共同で経営革新計画を作成した場合にあっては、経済産業省令で定めるところにより、代表者を定め、これを行政庁に提出するものとする。
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 ここで1つ疑問が浮かぶ。
 つまり、中小企業新事業活動促進法の前身である、中小企業経営革新法(「旧法」)で承認を受けていた場合、果たしてどうなるのかである。

 結論から言えば、新法で経営革新の承認を取り直しするしかない(というのが中小企業庁の見解でもある)。

 ところが、新法では、旧法で承認を受けたものを新法で受けたものとみなすという規定があるものだから、この取り直しは不要だと勘違いしているケースがあるようなのである。

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中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律
附則第一条 (施行期日)

 この法律は、平成十七年四月十三日又は公布の日のいずれか遅い日から施行する。

第二条 この法律による改正前の中小企業経営革新支援法(以下「旧法」という。) 第四条第一項の規定により行政庁の承認を受けた経営革新計画(旧法第五条第一項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの) は、この法律による改正後の中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(以下「新法」という。) 第九条第一項の規定により行政庁の承認を受けた経営革新計画とみなす。
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 これで「なんだ、取り直しは不要じゃないか」と即断してしまう人がいるようなのだ。

 しかし、税制に関しては、新法の枠外での恩典を措置法が規定しているわけだから、新法のみなし規定は及ばないと解するべきだと思われる。

 なお、少なくとも広島県は、下記のように取り直しの必要性を明言しているのでご参考まで。

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更新日:2007年8月9日
中小企業経営革新支援事業の概要

 (略)

注意
 計画の承認は支援措置を保証するものではなく,計画の承認を受けた後,それぞれの支援機関等における審査が別に必要となります。
 申請者は,計画の申請に当たっては,希望する支援機関において事前に相談を行ってください。
 旧法で承認された経営革新計画は新法で承認された計画とみなされ,新法の支援措置が受けられます。
 ただし,留保金課税の特例措置は新法に基づく計画申請・承認が必要です。

http://www.pref.hiroshima.lg.jp/page/1180935220853/index.html
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