「手のひら、ひらひら」志川節子
「手のひら、ひらひら」志川節子
オール読物2007年12月号に志川さんの新作が掲載された。前回の作品が6月号だからペースを掴んだという感じなのかもしれない。
今度の作品もやはり苦界・吉原が舞台。ただし、主人公は女性ではなく、手のひらを揉みほぐすことで、女達の疲れを癒し、体に潤いを与える豆吉である。
彼は、妓の手の膚を触ることで、彼女たちが妓夫に籠絡される兆しを察知するという特殊技能を持った、妓楼の「目付」だ。そんな彼が子守の頃から面倒を見てきた妓楼の主の娘まちに厄介事を頼まれてしまう・・・。
前回の作品と同じく、今回の作品も苦界に生きる者の苦悩を扱ったものだが、今回の方が読後感としては淡さのようなものを感じる。それは、主人公が男になったからなのかもしれない。
こんなことを言うと誰かに怒られるかもしれないが、女性よりも男性の方がピュアなのかもしれないと思わせる、そんな作品であった。自分自身のことをさておいて言ってしまうが。
また次の志川さんの新作が出るのを楽しみにしたい。
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