3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術 マーク富岡
■3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術
マーク富岡 サンマーク出版 2008年6月20日初版発行
タイトルと内容がかなり違っていて、実は自分に交渉術の基本を教えてくれたのがユダヤ人だったという話。
「交渉というのは長きにわたり、すばらしい人間関係をつくるための1つの過程である」という著者の考え方に納得できる方なら、読んで損はないかと。
◆歴史が磨き上げた交渉力が、彼らのDNAに伝わっているのだろう。
私が出会ってきたユダヤ人にも、それを感じさせる人が多かった。
たとえば、予想もしない事態が起きても、「何か解決の糸口がある」という前提ですぐさま次の手を打つ。
「失敗してあたりまえ。それを苦労と思っていたら逆境につぶされてしまう」(P27)
◆マイヤー氏はホワイトボードに書いたアジェンダを一つひとつ指し示し、追加のテーマはないか、私とシュミット氏に確認した。
同時にA41枚にまとめた「今日の予定」についても説明していく。
(略)
しかし、マイヤー氏は単なる気配りの人ではない。紙に明記することでタイムマネジメントをしっかり行い、私に対しても、それにコミットするよう促したのだ。
シュミット氏にしろ、私にしろ、「この時間内ですべての交渉を終えるように」と言われたということである。(P37~40)
◆人は一時間前に聞いたことの半分以上は忘れている。これは私が勝手に提唱する極論ではない。
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線をご存じの方も多いだろう。エビングハウスによると、人間は人の話や講義を聞いた二十分後には内容の42%を忘れ、一時間後には56%、一日後にはなんと74%も忘れてしまうという。
(略)
いかに真剣にディスカッションしても、相手は交渉の内容を案外忘れてしまうというのは、経験としてもなんとなくわかる。
特に厳しい交渉だと、議論が複雑になるので頭も疲れて、時間がたつにつれ、言った、言わないという水掛け論が生じてくるのだ。そこで無用なトラブルを避けるために、議事録と契約書の作り方が重要な意味をもってくる。
議事録を作成するベストタイミングは、交渉が終わった時点だ。
(略)
そこで、交渉した内容を相手と確認する意味でも、その場で議事録を作ってお互いサインする習慣を作ってしまう。こうすれば言った、言わないという水掛け論になることもなく、無駄な誤解も避けることができる。
(略)
契約書とは本来、お互いの決まりごとを書面で約束するという性質のものである。
自分でも理解できないような難しい言葉を羅列すると、あとでもめる原因ともなる。問題が起きた際に契約書を参照すると、解釈の違いが生じるためだ。(P205~207)
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