俺たち訴えられました! SLAPP裁判との闘い
「俺たち訴えられました! SLAPP裁判との闘い」
島賀陽弘道・西岡研介著 河出書房新社
SLAPPって初耳。
自分に不利な情報・意見が公になるのを妨害する民事訴訟のことだとか。
民事訴訟の体裁さえ整えれば、嫌がらせOKというのはおかしいとの主張。
実際、アメリカでは反SLAPP法があるという話だし。
ただ、両著者ともジャーナリズムの人間という意味で若干違和感。
西岡氏はJR東日本労組の問題を扱った「マングローブ」が一時話題になったので余計。
しかし、よく読むと、一般人にとっても決して他人事じゃないことが分かる。
先日の「わが記者会見のノウハウ」と一緒で、万が一のため持っておくべき本かなと。
で、一番うーんと思ったのは下記。
一審で出すべき重要な基礎事実を弁護団が出さなかったことに、著者が憤る部分。
△
こうした弁護士の過誤に対して苦情を申し立てる窓口がどこにあるのか、今探している。医師なら医療過誤を犯せば倫理委員会で処罰され、訴訟を起こされ、場合によっては免許を剥奪される。少なくとも、責任の取り方が外部に明確になっている。弁護士はどうなっているのだろう。
また医師なら自分の専門が何か、患者が間違えないよう「診療科目」を掲げている。だから、足を骨折して「眼科」に駆け込む悲劇は起きない。ところが、弁護士にはそんな表示すらない。
いや、それどころか、私のような裁判当事者経験のない普通の市民が突然被告にされたら、「弁護士には専門あるいは得意領域がはっきりしている」「名誉毀損事件は専門性が高いジャンルである」「よって名誉毀損事件は扱い慣れた専門家弁護士に弁護を依頼する必要がある」事実すら、後から知るのだ(私の一審弁護団は後から聞くと名誉毀損訴訟の経験がほとんどなかった)。
(P263)
▽
これに近い話は、他の士業でもよくある。
弁護士過誤を訴えるかどうかは別にして、専門の標榜はあってよいだろう。
弁護士ネットで出してますなんて、お茶濁しではなく。
なお、裁判を意識して、取材段階からかなり裏取りしたり、綿密な計画を立てているという西岡氏の発言には結構驚き。ただ、どの程度どうかは分からないけど。
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