土地信託の損失、県の補償責任認める 最高裁
どうなったのか、時々気になっていたのですが、ついに最高裁の判決が出たと。
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土地信託の損失、県の補償責任認める 最高裁
兵庫県から委託された土地信託の事業で損失が生じたとして、信託銀行が約79億円の補償を県に求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は17日、県の上告を棄却する判決を言い渡した。県に全額の支払いを命じた昨年5月の二審・大阪高裁判決が確定した。
(略)
第一小法廷はまず、公有地の信託制度を86年に創設する際、当時の自治省が「自治体が債務(損失)を引き継ぐ可能性がある」との認識を示していたと指摘。さらに、兵庫県の副知事が契約前に「損失を負担する可能性がある」と議会で答弁していたことも踏まえ、「利益を受ける者に損失の補償を請求できる」と定めた委託当時の信託法が適用されると結論づけた。裁判官5人全員一致の意見。
県側は「信託事務に必要な費用は信託財産(土地など)から支払う」という契約条項を根拠に「補償は不要」と主張したが、判決は「県への請求権を排除する規定ではない」と退けた。
(略)
http://www.asahi.com/national/update/1117/TKY201111170677.html
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最高裁のサイトでは、既に判決が開示されている。
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公有地の信託契約において,受益者に対する費用補償請求権を定めた旧信託法(平成18年法律第109号による改正前のもの)36条2項本文の適用を排除する旨の合意が成立していたとはいえないとされた事例
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http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111117152309.pdf
補足意見を読むと、結論的にも納得できる気がする。
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所論は,本件信託契約においては,委託者である上告人が受託者である被上告人らを信頼し,本件信託土地の所有権を移転して全面的に運用を任せたのであり,運用の失敗の結果生じた損失を一切被上告人らが負担しないというのは不合理であるという。しかしながら,本件信託契約においては,被上告人らに信託財産の現況及び運営状況その他必要と認める事項について報告義務が課せられているほか,信託施設の設計・監理,工事請負契約の内容及び大幅な修繕等から信託施設の運営主体及び賃貸条件の設定に関する事柄まで上告人との協議義務が課せられており,他方,上告人は調査及び監査権限並びに是正等の指示権限,さらには信託契約の終了権限を有するのである。このように,上告人には通常の土地信託と比較して強い介入権限があり,実際にもそれらは行使されていることが認められる。所論は,失当というほかない。
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