きんざい 月刊登記情報 2013年10月号 より その2
きんざい 月刊登記情報 2013年10月号 より、の続きね。
○「相続させる」旨の遺言と異なる内容の遺産分割があった場合における登記手続への影響について
半田久之(権利登記実務研究会報告 第3回)
続き。
矛盾をどう解決するのか、って話。
裁判例はいくつか分かれるようだ。
[1]東京地判平成13年6月28日
これは、遺言者意思は、勝手な遺産分割協議を許さないものだと解している。
[2]さいたま地判平成14年2月7日
基本は最高裁判決を容れつつ、しかし、遺産分割について、独特の見方をする。
つまり、相続人間の贈与や交換を含む混合契約だと解している。
これらの考え方だと、一旦遺言に基づく登記を行う。
その上で、次は贈与や交換を登記原因とすることになるのだという。
うーん、これだと税務は考えるだに恐ろしいのだが……。
[3]東京高判平成21年12月18日
遺言の利益放棄を述べているが、それだけでは分割対象にならないとする。
その上で、遺言無効とされれば、遺言の放棄が可能としているという。
この立場だと、遺言の利益放棄時に訴求効が生じるのだという。
その結果、遺言と異なる遺産分割協議が成立すれば、遺言を飛ばして登記できると。
こちらだと、実務感覚に合う。
実際、この論文でも、税務は認めていることを注9で書いてくれている。
著者は、後者の意見寄りのようだが、法務では通説ではないらしい。
税務畑にいる人間には、びっくりの内容だった。
○債権法改正と司法書士実務への影響 第6回・完 債権譲渡 鈴木龍介
あの金子先生が「いい男でしょう」と認める鈴木先生の寄稿。
が、正直、勉強不足で、理解できませんでした。
ごめんなさい、鈴木先生。
○利益相反行為と不動産登記(1)(司法書士入門~いまさら聞けない登記実務から第10回)
初瀬智彦・小口文隆・浦田融
「原則として、自分の会社の取締役が取引相手の会社を代表して契約を締結する場合には、議事録の添付が必要と考えればわかりやすい」
なんかこれは聞いたことがあるように思う。
でも、実務になるとまた分からなくなるのだよなぁ。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 長いインタビューでは年表を用意する_(2023.01.14)
- イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計(2023.01.01)
- 「やはり民法は裁判規範であったのか」って_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.12.27)
- 請求権の発明_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.11.30)
「信託・信託法」カテゴリの記事
- イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計(2023.01.01)
- 事業承継信託_信託協会(2021.10.07)
- 「死後全額贈与の契約は無効」 名古屋地裁岡崎支部「公序良俗に反する」_毎日新聞(2021.02.01)
- 金券ショップの最大のサプライヤーは誰か_日経ビジネス(2020.11.28)
- 子供とともに歩んだ民事信託の夜明け[渋谷陽一郎](金融法務事情)(2020.04.02)
「法律全般」カテゴリの記事
- LGBTを支援している弁護士さんにゲイバーに連れて行って貰った岡口裁判官(2023.01.30)
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 「破産者サイト」運営者、個人情報保護委が初の刑事告発…名前や住所を地図上に表示_読売新聞(2023.01.16)
- ガーシー議員の関係先捜索 著名人を中傷疑い、警視庁 動画投稿サイトで_産経新聞(2023.01.17)
- ステマ広告規制へ 消費者庁_Impress Watch(2023.01.05)
コメント