「結び屋おえん 糸を手繰れば」志川節子
「結び屋おえん 糸を手繰れば」志川節子
結び屋おえん 糸を手繰れば
志川節子/著 新潮社
発売日: 2014/05/22
http://www.shinchosha.co.jp/book/335671/
待望の志川作品。
新潮社で書き下ろし。
なんというか、本の佇まいが、良い本なんですよね。
持った時の紙の手触りも、いい雰囲気で。
表紙のイラストもしっくり来る。
淡い雰囲気と女性の目線がなんというか。
例によって、テーマに沿った連作ですが、主人公は、おえん固定。
誤解から離縁された女性が、縁の中で、縁結びを職とすることになる。
そして、他人の縁を繋ぐ中で、おえんが自分自身の立ち位置を見いだしていく。
夫、息子、姑、実家、まさに現在の家族の悩みに繋がっているのですね。
この作品は、この先を書くこともできるし。
あるいは、書かずにこのままで終わることもできる。
そんな書き方になっている。
もし書くとすれば。
おえんの哀しみの奥底にある「喪失」への答えが書かれるのだろう。
この場合「喪失」の意味は1つではない。
そして、回復できる喪失もあれば、回復できない喪失もある。
回復できない喪失に、おえんをどう向き合わせるのか。
そして、そこでどのような癒やしを与えるのか。
続編がでるのであれば、期待したい。
で、本編そのものも、当然、堪能させて頂きました。
なんてたって、夜中に読み続けてしまって、今眠いんだもの。
なお、小説NONの5月22日発売号でも掲載されているらしい。
本屋へGOですな。
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