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2014/06/13

判例からみた遺留分減殺請求の法務・税務・登記 その2

判例からみた遺留分減殺請求の法務・税務・登記 その2

「判例からみた遺留分減殺請求の法務・税務・登記」
永石一郎 中央経済社 2014年5月20日第1版第1刷発行

 その1の続きで、自分用メモ。

5 相続人間で行われた遺産の売却を価額弁償とした更正処分の取消し
  福岡地裁平成8年2月2日

 換価分割か価額弁償かが争われた事例。

 「Xは,Bからの遺留分減殺請求を契機として,本件不動産を現況のまま自己が取得することを諦め,Aの遺産である本件不動産を売却の上,相続人であるX,B,C,D間でその売得金を分配する意思のもとその旨の遺産分割協議の申出をし,その結果,本件不動産の売得金を分配するという,いわゆる換価分割の方法による遺産分割に合意した上で右遺産分割を実行したものと認めるのが相当である。」

「Xには遺留分減殺による現物返還義務を免れるために本件不動産を売却する意図はなく,また,XのBに対する金銭の支払にも遺留分減殺請求による現物返還義務そ免れる目的は求められないから,本件では右金銭支払を価額弁償とみる根拠はないものといわなければならない。その意味で,本件においてXが本件不動産を売却してその売得金の一部をBに支払ったことをもって価額弁償と捉えたY税務署長の主張は,この現物返還義務を免れるという価額弁償の趣旨を看過した誤りがあるといわざるを得ないので,到底採用できない。」

(P324)

6 法人への遺贈についての遺留分減殺請求が価額弁償で解決された場合のみなし譲渡所得への影響
  最高裁平成4年11月16日

 有名かつ難解なアレですね。

7 他の相続人と納税者の共有となった遺産の土地売却と譲渡所得課税
  横浜地裁平成3年7月17日

 代償分割か換価分割かが争われた事例。

2)換価分割とは,相続財産の全部または一部を換価して,その対価を相続人の間で分割するという遺産分割協議がなされることが前提である。

 この場合には,各相続人が相続財産を相続したうえ,自己の持分を他の相続人とともに第三者に売却したものと解されるので,相続税のほか譲渡所得課税が行われる。しかし,譲渡所得税計算の経費として相続税を納めた分は,差し引いてよいという特典がある(租税特別措置法39条)。

(P336 解説)

 本例は、代償分割と認定された。

8 価額弁償に要した額の損金算入時期と取得価額
  東京高裁平成3年2月5日

  判例6と当事者同じ法人税事案。

 これに対して,受贈益をいったん相続開始の事業年度における収益として処理するとともに,遺留分減殺請求がされ,これに伴う具体的な受贈益の変動,すなわち具体的に価額弁償の額が決定され,受贈益の減少があった場合に,その時点の事業年度において損金として処理することとしても,受贈益の利益を著しく害するものではない。したがって,右のような処理は,法律的効果の変動とも符合し,具体的な利益の実現状況にも即応するものであって,相当というべきである。…」

(P339)

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