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2014/07/16

「開業医が知っていると得する稼いだお金の上手な残し方」牧野克彦

「開業医が知っていると得する稼いだお金の上手な残し方」牧野克彦

 別件の本を探していて、目に入ったので購入。
 薄い本だと、つい買ってしまう。

「開業医が知っていると得する稼いだお金の上手な残し方」牧野克彦
 近代セールス社 2013年10月13日初版発行

 要するに、

・医療法人化により税金コストを抑えましょう。
・生命保険を使って、将来の退職慰労金で受取れば、手取りを増やせますよ。

というのが内容で、それほど目新しさはないのですが。

 ただ、通常世の中でこのスキームを喧伝している人より、少し理解がある。
 そこは評価したい。

 下記は、確かにね、という点。

1)医療法人化に向かない場合を挙げている

 例えば、生涯現役のドクターは個人のままがいいだろうと。
 退職金スキームが要諦なら、そうなりますね。

2)残余財産を退職慰労金で全額受給も可能としている

 高額否認なら、法人で損金不算入でも、退職給与には変わらないだろうと。
 退職所得で貰えるなら、十分メリットがあるじゃないのと。

 考えていませんでしたが、通常は、そうなりますね。
 分掌変更退職金でない限り。

 ただ、では「この著者の言うことを全て鵜呑みにしてよいか」は別問題。

 元々、この退職金スキームの最大の肝はどこかというと。
 退職所得には、2分の1課税との優遇が与えられている点。

 ところが、この優遇税制は、廃止ないし縮小すべきとの意見がある。
 税調ではかなり以前から出ている話ですから。

 という話、税制の流れを踏まえて、20年先でも続いているか。
 普通に考えると、それは楽観的に過ぎるだろうと思うわけです。

 この著者が気がついていない、とは思いませんが。
 触れれば、セールストークの切れ味が落ちますよね。

 知らなければ、みんなハッピーな話なんですが。

 なお、監修者の税理士の「開業医の相続対策」は蛇足に感じる。

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