「東大入試問題に隠されたメッセージを読み解く」
「東大入試問題に隠されたメッセージを読み解く」
東大入試問題に隠されたメッセージを読み解く
大島保彦
産経新聞出版 平成25年1月23日第1刷発行
駿台予備校で英語を長年教えている大島氏による解説本。
東大の入試問題の出題の背後にある理念を解きほぐしていく。
幾つかをあげると。
・英語は語彙ではなく、運用力が重要。
・問題を解く方法は2つある。
【1】できるところから着手する方法
【2】分からないものを分かったと見なして処理する方法
この2つはアプローチが全く異なる。
両者を峻別した上で、両方できることが重要。
・結論ではなく、論証・過程が重要。
・きれいなノートは不要。
ただし、字を早く書く生徒は優秀。
・勉強には、目的思考型とネットワーク型の2つのタイプがある。
前者は局所型、後者は全体型。
垣根を越えていく学習には前者が必須。
本当に優秀な生徒は後者だが、前者の勉強も合格には必要。
これはすごく良い本だと思います。
ただし、価値が分からない人には全く意味がない本。
端的に言えば、現世利益を求める人には便所紙以下の本。
しかし、学ぶということの本質を突き詰めるのであれば、必読でしょう。
ただ、この本で一番なるほどと思ったのは、受験が親子が向き合って話をするチャンスだという話の中で出てくる、著者のパーソナルな体験。
著者の場合、受験のときも就職のときも、親との正面での向き合いを避けたと。
その結果、結婚の時に初めて向き合ったのだと。
「……、親は私のことを結婚するまで、『持ち物』『所有物』だと思っていました。議論を避けたためです。(P177)」
これは、人生を生きるためにとても重要な示唆だと思う。
受験生だけでなく、多くの方に読んで欲しい本。
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