「営業の悪魔」長谷川千波
「営業の悪魔」長谷川千波
「営業の悪魔」長谷川千波
-「チキンハートでネガティブ思考のお前に何ができる?」
祥伝社 平成27年2月10日初版第1刷発行
ふと本屋で目にとまり。
小説仕立てなので、どうかと思いつつ購入。
正直、小説としてうまいかというと、そうでもないのだが。
読んでいると、驚かされる。
主人公は、特命でトップ営業の手法を同行取材する。
まず、子供への教育教材の販売がスタート。
電話で、住所を教えてくれるかどうか。
そんなことから、勝負は始まっている。
道を聞くときも、手早く聞くのではなく。
住所の目印を聞いて、自分のことを気にして貰う。
「お客様と相思相愛になりたいなら、なんでも合理的に済ませないほうがいいんだよ」(P70)
そして、動機付けが済むまでは、セールスに入らない。
話の続きが聞きたくなる、相手の動機が引上げられるところまで待つ。
客が興味を持たないと、営業側は格下とみられる。
時間をかけても、興味を持たせることに専心する。
更に、一度興味を持ったが、話を聞くのを止めようとする場合。
自分の話に関心を持ったことを、思い出させるよう努める。
ニーズがあるお客さんのところに行く。
ニーズのないお客さんのところに行くのはムダ。
ニーズがあるかないかが全てで、話を優しく聞いてくれるかどうかではない。
手強いタイプのお客さんでも、ニーズがあるなら行く。
なるほどね。
更に、公道の所作、1つ1つは、意味がある。
「今その場所にいない人に対しても想像力を駆使して気を遣え」(P73)
会話で、相手に直接語るのではなく、間接的に相手を褒める。
これは、心理学でも出てくる技法ですが。
その場では、お客様の望む役割を演じる。
役者になりきって、自我を捨てる。
そして、驚くのは、場の空気を悪くすることを恐れないことだ。
場を最終的に支配するためには、一時的に空気を悪くすることも厭わない。
これは、次の高級化粧品販売の話でも出てくる。
そちらでは、一旦帰らせて、数日後に戻ってくるというマジックのような話が。
ただ、彼らの行動は、全て理に適っている。
心理学的技法としても、ごもっともである。
また、さらっと言われて驚いたのが次。
「役者になりきったほうが精神を壊さなくて済むんだけどな。」(P93)
これは、恐らく、心理学的にも正しいという話を読んだ記憶がある。
更に、「営業の神さまが見ている」という。
商談中は、お客さんの満足や幸せだけを考えないと、見放されるのだと。
これって、一理ある考え方です。
つまり、自分自身の潜在的整合性をとっているわけです。
矛盾って、ひょんなことから出てきます。
だから、その舞台の間は、その役者として専心すべきだと言っているのでしょう。
なかなかすごいです。
小説としての組み立ては、ちょっとどうかなと思いますが。
トップ営業の考え方や技法、そういったものに少しでも触れるのは。
非常にいいチャンスの書籍ではないかと感じました。
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