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2015/07/16

平成26年5月13日裁決 馴れ合い和解であるとの課税庁主張が否定された事案

平成26年5月13日裁決 馴れ合い和解であるとの課税庁主張が否定された事案

 国税速報平成27年1月26日号で取り扱われていた。
 ただ、記事だけ読むと意味不明だったので、原文を当たってみた。


《要旨》
 原処分庁は、受遺者である請求人が被相続人から遺贈により取得したとして相続税の修正申告に計上した各土地(本件各土地)について、請求人、R社及び相続人の間で成立した、平成13年頃に被相続人からR社に譲渡されたもので被相続人の遺産を構成しない旨を確認した裁判上の和解(本件和解)は、当事者が租税回避目的等から馴れ合いと評価されるような和解をしたにすぎず、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当しない旨主張する。

 しかしながら、①本件各土地の一部には請求人の兄名義の居宅が存在すること、②平成13年にR社を権利者とする所有権移転請求権仮登記がされていること、③売買代金に相当する金員が貸付金名目でR社等から被相続人に交付されていることからすれば、本件各土地が、被相続人の遺産を構成しないことを確認した本件和解の内容について、証拠等からうかがわれる客観的事実関係に明らかに反していると認めるに足らない。そうすると、本件和解は、相続開始時に所有権の帰属に関して当事者間に争いのあった本件各土地について、平成13年頃に被相続人からR社に対して譲渡されていたことが相応の根拠をもって認められ、実質的にみても客観的、合理的根拠を欠くということはできない。したがって、本件和解は、国税通則法第23条第2項第1号かっこ書に規定する和解に該当するというべきである。

(平成26年5月13日裁決)

 課税庁は、「専ら当事者間で税金を免れる目的の下に馴れ合いでされた和解」だと。
 通則法23②一かっこ書の『判決と同一の効力を有する和解』ではないと主張。

 なるほど。

 和解成立後も、登記がされていなかったのが原因の1つなのですね。
 納税者は、この審査請求がまだだだからと言っていますが、これはうーん。

 審判所も言っていますが、農地だから登記できないというのも変。
 市街化区域だし、現況宅地なのだから、届出だけすれば許可は不要だから。

 更に、元々、所得税脱税のための売買代金の仮装が疑われる事案だった。
 確かに、これは課税庁ひかないですわね。

 ところが、審判所は、そのような事情があっても、それは所得税の話だと。
 この和解が馴れ合いだというのは、流石に言い過ぎだろうと。

 納税者の立場としては、審判所ありがとうだけれど。
 課税庁の立場からは、結構やりきれないだろうな。

 汚い事案だったということで、課税庁にお疲れ様と言ってあげたい事案。

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