贈与税の配偶者控除における居住用不動産の範囲
贈与税の配偶者控除における居住用不動産の範囲
国税速報平成26年9月1日号より。
○疑問相談 資産税(贈与税)
贈与税の配偶者控除における居住用不動産の範囲
沖田初美(税理士)
相続税法21条の6のいわゆる「おしどり贈与」について。
賃貸部分と居宅の敷地になっている場合の持分贈与時の注意点。
まず、土地のみ贈与であっても、居住用家屋の敷地であれば。
家屋所有者が、受贈者の配偶者か受贈者同居親族ならセーフと。
で、店舗併用住宅の場合に、本来は、店舗部分を含めて持分計算すべき。
相基通21の6-2で、家屋床面積按分することを確認している。
賃貸部分と居宅部分とのうち、賃貸部分が計算に入るので。
特例対象が目減りするのが、原則的扱いだというわけだ。
しかし、申告時において、居住部分優先で申告していれば。
これを認める特例的扱いがある(相基通21の6-3但書)。
これによって、賃貸部分を計算に入れずに特例適用できる。
納税者有利な取扱いなので、割合知られているところだ。
さて、では、1筆の土地が、賃家・居宅という2棟の家屋の敷地なら。
この場合には、この店舗併用住宅の持分贈与特例が使えないという。
平成13年9月13日裁決例で、この点が確認された。
居住用部分と賃家部分の分筆をせず、上記但書が使えると主張したが納税者負け。
店舗併用住宅では区別が曖昧だから、通達で但書を設ける余地があった。
しかし、2棟は利用区分の違いが明確で、独立しているので事情が違う。
結果、居住用部分がかなり小さくなってしまう。
では、どうすべきかと。
先に、敷地を分筆して、居住用部分と賃貸部分をちゃんと分けておきなさいと。
分筆後に居住用部分だけ贈与すれば良かったのだと。
おしどり贈与の相談を受けた際に、現況把握が一番大事、ということですね。
話だけでやってしまうと危険ということなんだろう。
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