「国税局資料調査課」
「国税局資料調査課」
マルサを超える最強部隊の真実
元国税実査官 佐藤弘幸
扶桑社 2015年7月10日初版第1刷
東京国税局OBで、現在税理士。
電子商取引事案対応チームのPROTECT立ち上げメンバーの一人。
OBが内部事情を書いた本を出すと、中身のない本か。
現役や周囲のOBから白眼視される本か、どちらかが大半ですが。
この本は、資料調査課の実態を初めて語っています。
もちろん、多くは既に何らかの形で部分的に世に出ているものですが。
個人的に勉強になったのは、料調のことというより、預金口座の入出金の見方。
ちなみに前提は、左側列が出金、右側列が入金の通帳である。
・L字型口座
毎月出金が続いて、給与振込み等の入金が月一。
個人名義で一番多いのだそうだ。
・逆L字型口座
現金入金が続いて、まとめて現金出金がある。
売上除外口座に多く見られるのだという。
なるほどです。
・稲妻型口座
入金・出金が交互に続く口座。
架空外注費や架空人件費でよく生じるという。
へー、そういう見方になるのですね。
・貯まりっぱなし型口座
売上除外口座か金持ちの口座か。
口座開設者の申告状況や保有資産状況次第だという。
なるほどね。
さて、著者らしいのは。
先般報道されたスキーム報告制度についての先見性(P126)とか。
電子商取引事案の対応方法についての説明(P148~150)。
結構、地道な方法が採られているというのが分かりますね。
第4章「コメ」から派生したセクションは、どんな組織なのかの概説で。
東京局との付き合いがある方には、役立つのではないかと。
本の最後を、エールで締めているのは、流石って感じです。
この本に敢えて苦言を1ついうとすれば、プロローグかな。
帯にも入っているし、出版社提案で入れたのだろうけど、うーんです。
ま、税理士なら、是非お勧めです。
調査の時のネタ話にもなりますしね。
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