課税庁職員と税理士のための税務調査における事実認定
課税庁職員と税理士のための税務調査における事実認定
「課税庁職員と税理士のための税務調査における事実認定」
高松謙悟(税理士)
清文社 2015年3月27日初版発行
私が買ったのは、6月5日の3刷版。
結構売れているってことですね。
購入した理由は「金融機関(銀行)調査入門」のセクションがあったから。
預金取引明細で「現金」となっている場合でも。
臨店して、伝票綴りを確認すれば、前後の時間の入出金なども判明し得る。
なるほどです。
伝票や印鑑票の筆跡も確認できるし、金額が大きい場合は必須なのですね。
届出電話番号で、新たな場所を発見するというのは、恐れ入りました。
で、銀行取引明細書を見る際のポイントですが。
貸金庫使用料に注意というのは、有名ですね。
電気料や火災保険料に注意する、というのは言われれば、でした。
確かに、場所という属性の情報なのですね。
「場所」という意識で、情報を見る。
当たり前のようですが、勉強になりました。
あと、振込手数料に着目するというのも、やはり言われればです。
資金移動の徴ですものね。
で、少なくとも、関与先が入手する情報よりも、はるかに踏み込んだ情報が分かる。
税理士は、それを前提にして話を進める必要があるわけですね。
この本で、他に、へーと思ったのは2箇所。
[1]証拠に基づかない「不実認定」は調査ではない(P156)
願望に負けて、課税をするために証拠を都合良く解釈したり、評価すること。
これは、事実認定ではなく、「不実認定」というべきだと。
なるほどです。
ただ、調査官も、税理士になると「常識」の目が変わることも多いので。
ここは、そうあって欲しいというレベルでの同意ですが。
[2]税務調査における「暗黙の了解の事実認定」の功罪(P205)
双方納得いく内容で、早期調査を終了するという共通のベクトルがある。
そこで妥協の産物として、「真実でない可能性が強い事実認定」が生じると。
この典型例として、棚卸の計上漏れ問題を挙げている。
確かに、期首在庫の話は、よく出てきますね。
で、前からモヤモヤしていたのですが。
これは、屁理屈でも何でも無いってことなのですね。
この点が確認できたのは大きい。
むしろ、当然に主張すべき論点なのだ。
この本は、調査に立会う税理士には、必読の書物ではないでしょうか。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 長いインタビューでは年表を用意する_(2023.01.14)
- イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計(2023.01.01)
- 「やはり民法は裁判規範であったのか」って_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.12.27)
- 請求権の発明_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.11.30)
「税務」カテゴリの記事
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 甘利氏、少子化対策で消費増税も 自民税調幹部_共同通信(2023.01.07)
- 「やはり民法は裁判規範であったのか」って_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.12.27)
- 請求権の発明_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.11.30)
「金融・金融法務」カテゴリの記事
- 横浜銀、神奈川銀を買収へ TOBで完全子会社化_時事通信(2023.01.29)
- 3000万円強盗の疑いで男3人逮捕、就寝中の男性脅し金庫から現金強奪_読売新聞(2023.01.06)
- 誤送金・誤振込での入金が続く場合、マネロン利用されている可能性がある_おひよ氏note(2022.12.24)
- 野村証券、店舗ATM全廃 来年3月末、利用減少で_産経新聞(2022.12.04)
- 金融庁が人材マッチングシステム 人手不足深刻な地方企業に_NHK(2022.11.24)
「相続・葬儀・通夜」カテゴリの記事
- 経営破たんの納骨堂 建物を明け渡し強制執行は取り下げられる 中に残された遺骨はどうなる?_HBCニュース(2022.11.18)
- ネット上の資産 私が死んでしまったら?_NHK(2022.03.03)
- 遺体発見後にコロナ感染死であるとされると_NHK(2021.10.05)
- 中国銀行、通帳発行手数料を新設(2021.07.17)
- 資産家“紀州のドン・ファン”不審死で元妻を殺人容疑で逮捕_NHK(2021.04.28)
コメント