「子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理」
「子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理」
「子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理」
鍋田恭孝 幻冬舎新書2015年7月30日第1刷発行
購入したのは、8月15日の第2刷。
著者は、30年近く、大学病院の外来中心で臨床医。
その間、10代から20代の若者の悩みに対応してきた。
著者の主張では、この若者の悩みが変化してきていると。
立ち直る力や、悩む力、自分を語る力、主体性が弱まっていると。
自分たちの悩みの状況すら、自覚できない。
かつての若者とは違い、親との関係は友人化している。
問題は多々あるが、とりわけ語る力を持たない。
著者の表現で言えば「物語の喪失」である。
言われたことはまじめにやる。
しかし、言われないと何をすべきかわからなくなる。
だから、自分から動けない。
学校や職場で上の人たちが対応に苦慮する。
まさに今起きていることだ。
面白いと思ったのは、コスパ敏感であるのに。
何故か、「できちゃった婚」が増えているのだという。
将来は不安だが、現在には満足していると。
経済学でいう限界効用が高いというべきか。
親との仲がいいので、親元を離れない。
近居、隣居で緩やかに繋がるインビジブル・ファミリー化。
逆に、それ以外の集団でのグループ化ができなくなる。
これらは、1990年代半ばから起きているのだという。
興味深いのは、過去の対人恐怖症とはかなり違うこと。
従来型は、社会の承認を求める、社会全般に対する恐怖だった。
ところが、現代型は、身近な他者からの反応に恐怖する。
その結果、コミュニケーションというより、ネタ的な受けを評価する。
著者が、外来でやり取りする際にも、上記の特徴が出る。
聞いても、事実上何も語れないのと同様の答えしかできない。
そして、自分の興味の範囲のことがわかってくれないと。
もうそこで、会話を切断されてしまう。
著者は、若者が青年に入るステップを喪失したという。
子どものまま生きていくので、大人の基準に合わせない。
著者は、10歳までの養育環境で大きな差が生じる時代だという。
「養育格差」という言葉まで使っている。
最後の処方箋部分が、腰砕けチックなのが残念ですが。
まぁ、それは望みすぎなのでしょうね。
アマゾンの書評で「妄想」「決めつけ」との意見もあるように。
これが絶対的正解であるとの保証はもちろんない。
しかし、1つの考え方・捉え方としては、有用だと思った。
少なくとも、30年近い経験の臨床医の言葉は、軽々しく切捨てられまい。
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コメント
「問題は多々あるが、とりわけ語る力を持たない。
著者の表現で言えば「物語の喪失」である。」
というのは、まさに同感します。「語る力を持たない」というよりも、自分の言葉を持っていないのでしょう。スマホアプリの「LINE」のスタンプは、まさにその象徴のような気がします。
投稿: はにー | 2015/09/25 09:10