信託=トラストが市場独占の形態の名称になった理由
信託=トラストが市場独占の形態の名称になった理由
「経友」No.193 2015年10月号より。
○カルテル、トラスト、コンツェルン
山田弘(公正取引委員会事務総局審査局)
信託は、英語でトラストですが。
独占・寡占形態の言葉としてしか理解していない場合も多い。
△
次にトラストについてであるが、南北戦争(1861~65年)を機にアメリカでは、蒸気機関などの新技術の発明によって、鉄道会社、鉄鋼会社、石油会社などが全米各地で次々に設立されていった。その過程の中で、企業同士の激しい競争によって共倒れになることを防ぐため、同業者間で協定を締結して価格や料金を取り決め、各社が受け取った料金をいったん「プール」し、そこから収益を分配するという方式が登場する。このプールは紳士協定の形で行われるカルテルであったが、「協定者の60%は紳士であり、30%はただ紳士のごとく行動し、さらに10%は紳士でもなければ紳士的にも行動しない」といったように、これを守らない企業も多かった。このため、大手石油会社の1つであるスタンダード・オイル・オブ・オハイオは、プールに代えて、各地にスタンダードオイル社を設立し、その株式をロックフェラーらごく少数の者に寄託することにした。これにより、受託者は、各地の企業の株式について信託(トラスト)を受け、これを管理することを通じて、事実上、全国の企業を支配できるようになったのである。
(P94)
▽
著者は、カルテル・トラスト・コンツェルンの独占と、独禁法などの競争法が規制している独占とは、意味が異なるのだと言う。
中学校の教科書の記述は、見直すべきだと。
確かに、持株会社は、もはや禁止されていない。
コンツェルンは、特別な場合以外は、禁止されていないですね。
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