「タックス・オブザーバー当局は税法を理解しているのか」志賀櫻 その1
「タックス・オブザーバー当局は税法を理解しているのか」志賀櫻 その1
タックス・オブザーバー当局は税法を理解しているのか
志賀櫻
NP通信社 2015年9月1日発刊
「税理士新聞」連載コラム「櫻咲く税界よもやま噺」の書籍化だそうです。
「結論を最初に言うが、最近の国税の調査は、法に従わない無茶な課税が多い」
うーん、私も結論を先に言いますが。
なるほどと、誤解じゃないのが半々の書籍だと思います。
まず、誤解じゃないのと思うのは、調査の概念について。
調査通達が、調査じゃないとして、実質調査しているのはけしからんと。
でも、これは思い込みだと思います。
加算税の始期を調査宣言時期と整理した、課税庁の意図を理解していない。
あるいは、理解したくないためなのでしょう。
しかし、実務家から言えば、この点は極めて重要です。
何せ、書面添付なり指導に従って、修正だせば、本税追加と延滞税だけで済む。
もちろん、重加算税に該当しないような事案であることは必要ですが。
まともな事案なら、過少申告加算税がつかない意味は、納税者にも大。
それを、十分に評価できていない、争訟しかアタマにない戦争屋的発想。
そのように言ったら、たぶん、著者は、頭から湯気出しながら怒りそう。
ただね、この方、上から目線なんです。
それは、はっきり言って、大嫌いですね。
それが表れているのは、P74から75のタックス・ヘイブン対策税制関係。
自分が抜本改正時の担当課長だったということを踏まえ、語っているのですが。
「しかしながら、これとは逆に、適用除外4要件のひとつでも欠ければ直ちにタックス・ヘイブン対策税制の適用がある仕組みになるなどとは決して考えていなかった。
その意味で、現在の国税庁のタックス・ヘイブン対策税制についての執行態度は、立法者意思からすれば想定外もののである。」
ほう、著者は、日本の法律の立法者だったのですね。
普通の人なら、立案担当者意思と書くところですが。
ということで、このあたりは、誤解ないし嫌いな記述部分です。
しかし、評価すべき点もあり、それは次回で。
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