税理士は法律家ではないのでやむを得ないのか
税理士は法律家ではないのでやむを得ないのか
ジュリスト2012年9月号より。
特集 企業法務における租税法の役割
○座談会 会社法からみた租税法の意義
-研究者の視点・実務家の視点
中里実(東京大学教授)
太田洋(弁護士)
神田秀樹(東京大学教授)
増井良啓(東京大学教授)
もう3年以上前の雑誌の話ですが。
気になっていたので、メモしておきたく。
具体的には、座談会中の太田弁護士発言。
△
太田 (略)
税理士の先生方は、法律家ではないのでやむを得ないところだと思いますが、判例や裁決があったときに、その射程距離がどこまでかという発想はほとんどないように思います。この事案でこうだったらこの事案でもこうなるはずだというように、判決や裁決の射程距離を考慮しないで、似た事案があるとストレートにその結論部分だけを当てはめてしまう傾向が非常に強いように思います。
(略)
太田 (略)
このように、法律的にこのような形で規定されているからこうなるはずだ、という割り切りは、税理士の先生方よりも法律家の方が得意ではないかと思います。これは、われわれ法律家の思考様式がそのようなものだからではないかと思っています。(P17)
▽
税法条文からではなく、質疑応答から考えるのが、税理士実務の多数。
そのような実態から言えば、言われても仕方ないのですかね。
ただ、長崎の岡田豊先生は、質疑応答を読む時も、常に条文を確認せよと。
この条文から、どうしてこう読めるのかを理解せよと。
通達だって同じで、あくまでも条文適用の例示として読むべきだと。
そのように聞いていた身としては、ちょっと反論しておきたい。
上記の問題は、法律家じゃないからじゃなくて。
条文を大事にする税理士かどうか次第なのだと。
まぁ、太田弁護士に私ごときが何言っても無意味なんですが。
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