請求権の発生(ゼロからマスターする要件事実(第3回)
請求権の発生(ゼロからマスターする要件事実(第3回)
月刊税理2016年3月号より。
○請求権の発生(ゼロからマスターする要件事実(第3回)
岡口基一(東京高裁判事)
法律要件を充たす具体的事実が存在すると。
法律効果として、観念的な請求権が発生する。
原告が被告に土地を売却したとすれば。
この事実が、売買契約の成立という法律要件を充たす。
これにより、法律効果が具体的に生じることになる。
原告から被告に対する売買代金支払請求権が発生する。
請求権は、法定されているものがあり、これを法定請求権と呼ぶ。
物上請求権のように、解釈で発生が認められているものもある。
そして、売買代金支払請求権のように契約に基づく請求権もある。
この契約に基づく請求権は、手前に契約の成立要件が法定されている。
【1】契約の成立→【2】契約に基づいて請求権が発生
2段階の構造になっているわけだ。
この請求権は、契約成立と同時発生するものもあれば。
契約終了時など、契約成立以外の時期に生じるものもあると。
ただ、契約成立と同時に請求権が生じる場合には。
契約の成立要件が、請求権の発生要件とイコールになると。
贈与契約に基づく目的物引渡請求権は、贈与契約成立と同時に生じる。
よって、贈与契約成立要件を充たせばよいことになる。
なるほど。
普段、契約成立と同時に生じる請求権ばかり念頭にありましたが。
そうとは限らないということですね。
そして、訴訟における審理判断の対象のことを訴訟物と呼ぶと。
訴訟物は何か、つまり、どのような請求権に掛っていくを考えると。
法律家つまり法曹は、訴訟の全体を分析する際に、まず訴訟物を見極めると。
請求権が何かを把握して、その発生原因、消滅原因を見ていく。
訴訟が提起されようと、されまいと。
生じた場合のシミュレーションを脳裏で行うのですね。
このロジカルツリーを理解することが必要なのでしょう。
請求→抗弁→……
つまり、将棋で言えば、3手の読みが基本なのでしょうね。
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