「連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏」巻来功士
「連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏」巻来功士
「連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏」
巻来功士 イースト・プレス 2016年2月22日第1刷発行
ゴッドサイダーやメタルKで有名な著者の半生記。
これ自体も面白いのですが。
何より読むべきは、巻末の堀江信彦氏との対談。
本編読んでからだと、すごく納得。
経験に基づく、堀江氏の分析は、流石というしかない。
以下、私なりに勝手にまとめてみます。
・漫画家には、縦糸系と横糸系の2種類の才能がいる。
縦糸は、ストーリーの部分。
横糸は、キャラクターやアドリブ・脱線の部分。
原哲夫氏は、完璧に横糸系の人だったのだとか。
なんか、分かる気がする。
・編集者が手伝いやすいのは、縦糸系の部分。
本編で巻来氏が、歴代の編集者に何度か言われる台詞。
「巻来君は自分でやれる人だから」
「君なら一人でできるから」
これって、縦糸系の才能があったからなのですね。
だから、編集者の手伝う余地が少ない。
堀江氏は、流石、ジャンプ黄金期の編集長というしかない。
才能の見出し方のキーワードを持っているのですね。
・漫画の面白さは、横糸系がかなりの比重を占める。
編集者がタッグを組んで補完できるのは縦糸。
しかし、横糸部分は、補完できない。
漫画家としては、横糸系の才能が7割くらいでいい。
・面白い漫画のコマ数は20ページで100から110
最近の漫画は、70から80コマ。
30コマの差は、情報量の差であり演出の有無。
場面転換・時間経過を入れる。
捨てカットを入れる。
人の表情で間を作る。
見る人が見れば「ここまでやるのか」の工夫があるか。
・漫画家の「カメラ」は何台あるかがその漫画の面白さ
北条司は、5台の据え置きカメラと1台手持ちカメラ。
面白くない漫画は、2、3台しかない。
「カメラ」は視点・目線ということですね。
・いい編集者に出会わないと、漫画家は不幸
ドラマの選択肢を的確に示せる編集者が名編集者。
どちらに行くべきかを与えられると、漫画家は楽。
漫画しか読んでいない編集者ではダメ。
小説や映画を読んでいる編集者こそ、よき助言者になる。
・漫画家と一緒にいいものを作ろうとするのがいい編集者
一緒に作ろうという手間をかけないと、つまらなくなる。
漫画家と編集のカップル作品という視点が重要。
漫画が増えた中で、いいのを載せればよいは、滅びの道。
・今の日本の漫画が面白くないのは挿絵になっているから
挿絵なら、海外作家ですごい絵の人たちがいる。
日本の漫画は、手塚治虫による映画のコンテから始まった。
映画では、まさにコンテを切る漫画家の才能が活きる
ネーム、コンテを切ることができることは大きな才能。
才能の見出し方・育て方という意味で、非常に参考になりました。
この対談だけは、必読だと思います。
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