ゼロからマスターする要件事実 第5回 請求権の消滅原因の消滅等
ゼロからマスターする要件事実 第5回 請求権の消滅原因の消滅等
税理2016年5月号より。
○ゼロからマスターする要件事実
第5回 請求権の消滅原因の消滅等
岡口基一(東京高等裁判所判事)
ちょっと分かりづらかったので、自分なりに整理してみた。
《1》「請求権の消滅」(法律効果)に対する発生障害
消滅時効
[請求権の消滅]
(抗弁)────→請求権を時効消滅させる【抗弁レベル】
││
↓↓
時効の中断(の再抗弁)【再抗弁レベル】
→時効は完成していないので、
請求権の時効消滅が観念できなくなる
→[請求権の消滅]が時効の中断により障害されたことになる
……障害の再抗弁になる
原告に有利な事情なので、原告主張すべき
《2》「請求権の発生障害」(法律効果)に対する発生障害
錯誤無効
[請求権の発生障害]
(抗弁)────→請求権を発生障害させる【抗弁レベル】
││
↓↓
重過失(の再抗弁)【再抗弁レベル】
→錯誤は発生していないので、
請求権の発生障害が観念できなくなる
→[請求権の発生障害]が重過失主張により障害されたことになる
……障害の再抗弁になる
原告に有利な事情なので、原告主張すべき
《3》「請求権の行使阻止」(法律効果)に対する発生障害
保証における
催告の抗弁
[請求権の行使阻止]
(抗弁)────→請求権を行使阻止させる【抗弁レベル】
││
↓↓
連帯保証(の再抗弁)【再抗弁レベル】
→連帯保証なら、催告の抗弁は使えなくなるので、
請求権の行使阻止ができなくなる
→[請求権の行使阻止]が連帯保証主張により障害されたことになる
……障害の再抗弁になる
原告に有利な事情なので、原告主張すべき
こう見てくると、上記《1》~《3》はロジックの骨子は全て同じと分かる。
障害の再抗弁は、「実はその法律効果が発生していなかった」のためにある。
そして、これらの抗弁→再抗弁という流れは、更に再々抗弁以下に繋がり。
どんどん繰り返されて、ツリーを形成することになるということですね。
で、再抗弁以下では、消滅の再抗弁や阻止の再抗弁はまず登場しないと。
殆どが、障害のそれになってしまうのだそうです。
民法で、リセットスイッチが規定で用意されているのはせいぜい表層レベル。
その先になると、その都度、個別の主張を存立基礎から否定するしかない。
勝手な想像ですが、恐らくは、そういう意味なのでしょうね。
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