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2016/08/23

訴訟における要件事実(月刊「税理」)

訴訟における要件事実(月刊「税理」)

 月刊「税理」(ぎょうせい)2016年9月号より。

○ゼロからマスターする要件事実
 第9回 訴訟における要件事実
  岡口基一(東京高等裁判所判事)

 要件事実は、本来、訴訟実務能力養成のためのツールとして開発された。
 そこで、実体法の要件効果を知っているだけでは不十分。

 訴訟の手続法としてのルール理解が必要。
 そのためには、幾つか知るべき知識があると。

○弁論主義の第一テーゼ

 当事者が立証しないと、裁判所は拾えない、というルール。
 ここが抜けていると、入口でサヨナラ。

 なので、要件事実をチェックして、主張漏れがないか確認する必要がある。
 要件事実本は、そういう使い方をするんだよ、と書いてありますね。

 なるほど、だから、辞書みたいな本を皆さん買っているのだ。
 弁護士であれば、漏れは許されない世界だから。

○主張段階と立証段階との区別

 主張と立証とは区分されており、二段階で持ち出される運用。
 上記のように、主張なかりせば、立証ステージもないので、経済合理的。

 主張をミスして、主張できないことを持ち出すと、「主張自体失当」。
 これ、ダメ元の覚悟がない時に言われたら、生きていけないなぁ。

 で、双方の主張が終わると、主張整理表を裁判所が作成する。
 この段階で、争点となる事実が明らかになっているのだと。

 この主張段階を踏まえて、第二段階である立証段階に入る。
 集中証拠調べで、争点についての立証が行われると。

○訴訟は、請求・主張・立証の3段階で内容を検討

 請求(請求権)←主張(発生や消滅について)←立証(争点)

 ここで、要件事実が重要性を持つのは、主張レベルだと。
 なるほど。

 立証は、具体的な事実の裏付けなので、抽象化しにくいのだろうな。
 請求も、まぁ、こうして欲しいという話で、分析も何もない。

 請求を支える、法的に意味ある主張として何が出せるか。
 あるいは、漏れなく、論理連鎖が続いているか。

 そういうことを考える実益は、主張段階なのでしょうね。

 で、また、用語の混乱のお話が出てきます。
 概念対立あるままで実務混乱がないのは、どうせ演習に過ぎないからだと。

 なるほど、そうなんでしょうね。

 でも、売れてる要件事実本の著者がそう書かざるを得ない現状ってのは。
 法律業界の混乱が、いわば末世的だということなのかしらん。

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コメント

丁重なリプライありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: アルキメデス | 2016/08/23 19:13

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