「冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場」
「冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場」
かの人気作家の勾留事件について、本人が語る手記。
週刊プレイボーイに連載されたものをまとめて、あの周防正行監督の対談が付いた。
この事件、不可解極まりないのは、妻からのDV容疑で逮捕。
ところが、容疑不明瞭なままで、10日経過せずに釈放決定。
まさに第二の「それでもボクはやっていない」ですね。
これは読まなきゃでしょう。
「冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場」
冲方丁 集英社インターナショナル 2016年8月31日第1刷発行
いや、これは、いざという時のため、絶対読んでおくべきですね。
なにせ、最初の勾留からして、警察ってこんなことやるのかです。
イベント打ち上げ時に、奥さんの関係者を名乗って呼び出し。
すると、警察手帳を出して、奥様のことで聞きたいことがあるので同行をと。
本人は、まさか自分が逮捕されるとは思いもしないのですね。
もちろん、妻が自分をDVで訴えたなんぞ、警察はおくびにも出さない。
で、この時点では、本人が被疑者として同行を求められていると示していない。
どうも、こういう誘導的手法を、警察はよく使うのだという。
(メモ)警察は逮捕時、曖昧に本人不利になる説明で誘導する手法を使う。
結果、本人は、自分が逮捕されるという認識もなく、警察署へ。
ところが、途中、メールを送ると、そこから空気が一転。
誰かを呼ぼうとしていないかと、あれ、という。
その後、妻と口論で顔を殴って怪我されたという逮捕状を見せられるわけですね。
それから、9時間に及ぶ第1回取り調べを受けると。
供述調書、最終的に拇印押したらしいのですが、後日弁護士から押すなと言われたと。
仮にそう見えなくても。
何かこちらにとって都合の悪い毒を混ぜてあるからだということみたい。
(メモ)可能かどうか不明だが、供述調書の拇印は押さないのが基本
その後、留置場で、奇跡的な出会いがある。
なんと、腕の立つ刑事事件専門の弁護士を相部屋の人に紹介して貰えたのだ。
弁護士の知り合いがいっぱいいて、名刺も持っているという。
いや、ある意味恐ろしい方だったのですね。
ただ、これって普通は不可能。
しかも、このケースも、弁護士名刺は見せられない決まりなので。
勝手に暗記して、房の外にいる警察官を呼び、弁護士依頼したい旨を告げる。
この際に、暗記内容を紙に書いて渡し、警察に電話して貰うのだと。
うげー。
しかも、先方不在や繋がらない場合は、それで終わらされる恐れがあると。
なので、留守電にメッセージを残すなどの細かい指示が必要だという。
(メモ)捕まったら、まともな電話もできない。事前に何か考えておくしかない。
取り調べは、いろんな揺さぶりをかけてくる。
ある意味、ドラマの方が、よほど人道的ですね。
弱らせたところで、「偶然……しちゃったんじゃないか」などと。
一見助け船のような毒饅頭を食わせようとするとか、もうね。
(メモ)警察は、こちらが犯罪者だという前提で取り調べを行う。
普通の人は、耐えられないだろうなと。
私は無理ってのに自信あり。
この作者って、何かに守られていたとしか、言いようがないですね。
凄い。
で、以下警察の失態や検察の間抜けさは、読んで頂くとして。
この作者は、弁護士紹介者の件とか、本当に、ラッキーでしたね。
ただ、訴えた妻との関係や、子供と会えないつらさはずっと残っているわけで。
何故、こんな状況が生まれたのか、そこは答えてくれないもどかしさがある。
世間話的なことで想像すれば、妻が浮気して、有利に離婚するため……。
なんてのが、よくある話ですが、こういうのこそ週刊誌が取材すればいいのに。
それにしても、著者の喜劇として笑い飛ばそうという姿勢は気持ちがいいですね。
辛い気持ちを隠して男は頑張るのだ、ということなんだろうな。
今まで著書読んだことないけど、機会を見て読んでみよう。
ちょっと、応援したくなりました。
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