二段階買収の実務と法的論点
二段階買収の実務と法的論点
法学教室2016年10月号より。
特集 組織再編をめぐる会社法上の論点。
〇二段階買収の実務と法的論点
中山龍太郎(弁護士)
二段階買収は、
[1]公開買付けにより議決権保有割合を上昇させる
[2]残存している少数株主を排除するスクイーズアウトを実施する
との二段階による買収で、完全子会社化する手法だという。
平成26年改正会社法施行後だけでも。
既に、26件の上場企業が二段階買収を実施していると。
改正前は、全部取得条項付種類株式による手法が多用されたが。
買収側が大多数になっていても、時間や手続が煩雑だったので。
より機動的なスクイーズアウト手法として手続が新設された。
それが、特別支配株主の株式等売渡請求制度であると。
更に、株式併合の手続も改正され、少数株主保護規定が整備された。
このあたりの改正を受けて、主流となる実務が既に形成されていると。
【1】第1段階での公開買付けにより90%以上保有となった場合
この場合、株式等売渡請求制度の利用が主流となっていると。
対象社の総会手続や端数処理手続が不要なので。
時間的・手続的コストが低いのが理由なのですね。
また、併せて新株予約権売渡請求を行うことも可能なので。
特別な手続きを行わずに済むメリットもあるのだと。
【2】第1段階での公開買付けにより90%以上保有に至らなかった場合
この場合、従来多用された、全部取得条項付種類株式に代わって。
株式併合を用いるようになってきたのだと。
少数株主保護で、実質的な差異がないのなら。
より簡易な手続である株式併合方式が主流になるのは自然だと。
この結果、「実務も株式等売渡請求と株式併合への収斂を見せつつある」と。
上場企業向けの知識なのでしょうけど。
実務の主流が分かって、勉強になりました。
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