複数の「公正ナル会計慣行」-長銀事件(弥永教授の新連載)
複数の「公正ナル会計慣行」-長銀事件(弥永教授の新連載)
会計・監査ジャーナル2017年1月号より。
〇会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す
第1回 複数の「公正ナル会計慣行」-長銀事件
弥永真生(筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)
民事事件・刑事事件の両方とも、最終的には最高裁に行ったので。
都合6つの裁判名が冒頭に掲げてある。
刑事事件の最高裁(平成20年7月18日)は、税法基準での査定について。
過渡的な状況では、これまでの公正ナル会計慣行たる税法基準依拠について。
直ちに違法であったということはできないと判事した(補足意見あり)。
ここで、標題の複数の「公正ナル会計慣行」という話が出てくる。
このように過渡的な局面で生じる他、中小会社では複数同時存在し得ると。
うーん、前者はともかく、後者って、どこかで説明が補充されるのでしょうね。
いろいろ問題を引き起こしている部分であり、結論だけではちょっと。
で、民事事件の方は、高裁判決が、最高裁の不受理・上告棄却で確定。
これは上記刑事事件と同じ日なのですね。
で、不意打ち防止措置や、周知徹底などの5要件充足がなければ。
新たな会計慣行は、法規範性として未だ未熟ないし不完全だと。
つまり、複数の公正なる会計基準の競合が生じた場合に。
下剋上が成立したというのには、それなりの要件が必要だと。
なるほどなのですが。
このような結論を裁判によって得ないといけないということが悲しい。
金融庁が、従来の現場を軽視する態度は、今に始まったことではないのですが。
結局、そのような行政は、後で余計に問題を大きくすることを学んでほしいと思う。
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