« 信託法と相続法(沖野眞巳)その1 | トップページ | 「預貯金も遺産分割対象」 相続をめぐり最高裁が初判断 »

2016/12/19

信託法と相続法(沖野眞巳)その2

信託法と相続法(沖野眞巳)その2

「相続法の立法的課題」(水野紀子編著 有斐閣2016年2月25日初版第1刷発行)より。

〇信託法と相続法
 -同時存在の原則、遺言事項、遺留分
 沖野眞巳(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

 続きで、同時存在の原則についてです。
 4つの問題があるのだと指摘しています。

【技術的な側面】

 [1]相続財産の帰属主体の継続性の保障

 …… 被相続人からの財産承継において帰属主体が存しない
    無主の財産を一瞬でも作り出さないという要請

 [2]法律行為の効力発生時に未存在の者への権利の付与

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者は権利を取得しない
    という帰結

【実質や機能的な側面】

 [3]相続による承継の早期の円滑な決定

 …… 被相続人の死亡時に未存在の者が将来権利を取得する
    ことが企図されると、それにより、相続人に不確定な
    義務や負担を課したり、相続にによる財産承継の円滑を
    阻害したりしかねないことから、そのような相続人に
    対する不確定な義務や負担の負荷の防止

 [4]被相続人による処分範囲の限定

 …… 被相続人の死因処分ができる範囲を被相続人の死亡時に
    現存する主体までに限定するというねらいないし機能

 続きます。

|

« 信託法と相続法(沖野眞巳)その1 | トップページ | 「預貯金も遺産分割対象」 相続をめぐり最高裁が初判断 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

信託・信託法」カテゴリの記事

金融・金融法務」カテゴリの記事

法律全般」カテゴリの記事

相続・葬儀・通夜」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 信託法と相続法(沖野眞巳)その1 | トップページ | 「預貯金も遺産分割対象」 相続をめぐり最高裁が初判断 »