典型契約における「せりあがり」その3(ゼロからマスターする要件事実)
典型契約における「せりあがり」その3(ゼロからマスターする要件事実)
月刊「税理」2017年2月号(ぎょうせい)より。
〇ゼロからマスターする要件事実
第14回 典型契約における「せりあがり」
岡口基一(東京高等裁判所判事)
続きです。
今度は貸金返還請求訴訟で、訴訟物は返還請求権ですが。
そもそも、これって、いつ発生するのかに争いがあると。
ただし、平成23年以降、私法研究所民事裁判教官室は見解を決めて。
返還時期が到来した時に発生するとの見解になっているのだと。
でも、世の中では、消費貸借契約成立時に生じると思っているよねと。
利息のカウントは契約成立時から始まるじゃないのと。
更に、人的保証や物的保証も、契約成立時からつけられると。
債権が生じているからこそでしょと。
なるほど。
で、請負の場合同様、請求原因の要件事実は、成立要件だけで良いかというと。
返還時期到来が要件事実になることも加える必要があるのだと。
本来、条件や期限は、阻止の抗弁になるはずだが。
主張側が成立要件で終わると、相手の抗弁を含んで自己撞着になる。
著者は、「オウンゴール」と表現しています。
相手の言うべきことまで、こっちが言ってしまう矛盾が生じるわけですね。
なので、請求原因主張段階で、本来再抗弁の要素も織り込んで主張すべしと。
つまり、成立要件と効力要件との区分は絶対じゃないということなのかな。
なお、これ以外に、履行遅滞の損害賠償請求において。
反対債務に係る同時履行の抗弁存在効でも、「せりあがり」があるけど。
説明は省略するとのこと。
順番割り込みの図があると、わかりやすいのかな、という印象です。
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コメント
丁重なリプライありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: アルキメデス | 2017/01/27 11:23