典型契約における「せりあがり」その1(ゼロからマスターする要件事実)
典型契約における「せりあがり」その1(ゼロからマスターする要件事実)
月刊「税理」2017年2月号(ぎょうせい)より。
〇ゼロからマスターする要件事実
第14回 典型契約における「せりあがり」
岡口基一(東京高等裁判所判事)
1 請求原因の要件事実
請求原因の要件事実は何か。
請求権の発生原因というのが、セオリーだと。
しかし、例外があるのだと。
1つは、保証債務履行請求の請求原因における「書面性」であり。
これは既に扱っているわけですが。
更に、民訴における「せりあがり」理論により場合があるのだと。
その場合も、請求権の発生原因以外の要件事実が、請求原因に追加されるのだと。
たぶん、人によっては「ん?せりあがりって何だ?」って感じですが。
特に説明なく、そのまま説明が続きます。
後の内容を見ると、順番が先に繰り上がるイメージですね。
再抗弁で済む筈のものを、請求原因で主張しておかなきゃダメとするものがあると。
2 請負型の契約に基づく請求
民法の典型契約のうちの幾つかについては、上記の例外になり得るのだと。
代表例として、ここでは請負契約の報酬請求権が扱われています。
普通に考えると、請負契約の成立が請求原因の要件事実だで良さそうだが。
実務では、それ以外の要件事実があるのだと。
「請負人が仕事を完成させたこと」であり、常識的。
ただ、これって、要件事実の流れで言えば、本来位置と違いますね。
著者が説明するように、再抗弁に位置づけるべきもの。
それを、請求原因の段階で、主張させるようにしてある。
本来の位置より先に来るので「せりあがり」と呼ぶのですね。
続きます。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 長いインタビューでは年表を用意する_(2023.01.14)
- イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計(2023.01.01)
- 「やはり民法は裁判規範であったのか」って_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.12.27)
- 請求権の発明_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.11.30)
「税務」カテゴリの記事
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 甘利氏、少子化対策で消費増税も 自民税調幹部_共同通信(2023.01.07)
- 「やはり民法は裁判規範であったのか」って_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.12.27)
- 請求権の発明_ゼロからマスターする要件事実_「税理」(2022.11.30)
「法律全般」カテゴリの記事
- 会社が寄宿舎を作ると労基法の規制を受ける(2023.02.06)
- LGBTを支援している弁護士さんにゲイバーに連れて行って貰った岡口裁判官(2023.01.30)
- 債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実(2023.01.27)
- 「破産者サイト」運営者、個人情報保護委が初の刑事告発…名前や住所を地図上に表示_読売新聞(2023.01.16)
- ガーシー議員の関係先捜索 著名人を中傷疑い、警視庁 動画投稿サイトで_産経新聞(2023.01.17)
コメント