書く力 私たちはこうして文章を磨いた その5
書く力 私たちはこうして文章を磨いた その5
「書く力 私たちはこうして文章を磨いた」
池上彰・竹内政明
朝日新聞出版 2017年1月30日第1刷発行
朝日新書600
続きです。
...「部品」の種類は多めに持とう
冒頭から結論へのブリッジを見つける②
....P31
竹内 実際に原稿を書いていくときには、私も池上さんの言う「記事の部品になりそうなもの」を用意するわけですが、そのときに、つくづく感じるのは、「文章力は引き出しの量に大きく左右される」ということなんです。
テーマが決まったとしても、それに続く中身を作っていくにあたって、引き出しの量が少ないと、話を自由に展開させることができない。
◆先に出た部品主義の考え方です。
どれだけ部品を持っているかで、ワザの自由度が違うわけです。
...向田邦子のうまさの秘密
巧みなブリッジのかけ方①
....P34
池上 (略)
私にとっては、これがまさに「話の構成」を作るときの基礎なんです。 自分の言いたいことを3つの項目に切り分ける。そして、どの順番で話すかを考える。もちろん、長時間の講演会や本の書き下ろしでは、もっと複雑な構成を考えますが、このやり方が基本になっているんです。
◆3つがマジックナンバーというのは有名。
....P35
竹内 1つは、「書き出し」を読んだだけでは「本来のテーマ」がわかりにくい構成にすること。
(略)
もう1つは、「書き出し」と「オチ」を多少なりとも関連づけること。例えば、落語の一節から書き始めたら、最後も落語絡みで締めくくりたい。
◆これも一貫して出てくる話で、すぐに全部が分かるスケスケの文は書かない。
あと、最初と最後を括るという意識が大事だと。
....P37
竹内 (略)
エッセーの表題と書き出しがつながらない。この先の展開がまったく読めないでしょう。それだけじゃないんです。以前に池上さんが「新聞ななめ読み」で使われていた表現をお借りすると、向田邦子のエッセーは、「人気のお店の典型」だと思うんですよね。
1つ1つのセンテンスが短くてリズムがいいし、内容が頭にスッと入ってくる。つまり「入りやすい店構え」をしている。でも、その店構えを見ただけで、奥にどんな商品が並んでいるのか、どんな料理が出てくるのかがわかってしまえば、お客さんは「ああ、そういう店か」と店内に足を踏み入れないかもしれない。文章で言えば、もう読むのをやめてしまう。向田邦子のエッセーは違うんですよね。どんな話に展開するのかわからないので、「ああ、この話ならいいや」とはならない。つい「奥はどうなっているのかな」と覗き込みたくなる造りになっているんです。
◆入り口は敷居低く、しかし、店の奥に何があるのかすぐに分からない。
これが、商売繁盛の店の典型であり、向田邦子のワザなのだというのですね。
続きます。
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