会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す(第2回 継続性の原則-阪急電鉄事件)
会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す(第2回 継続性の原則-阪急電鉄事件)
会計・監査ジャーナル2017年2月号より。
〇会計処理の適切性をめぐる裁判例を見つめ直す
第2回 継続性の原則-阪急電鉄事件
弥永真生(筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授)
第1審 大阪地裁平成15年10月15日
控訴審 大阪高裁平成16年4月27日
上告審 最高裁平成17年8月3日(上告棄却・上告不受理)
阪急電鉄は、過去において、工事負担金を受領するも、圧縮記帳をせず。
特別利益として損益計算書に計上していた。
ところが、経営改善計画を策定し、減損会計導入等に備えて投資損失引当金を設定
もし圧縮記帳処理していれば、147億円の法人税等を節減できた。
このため、株主らが善管注意義務違反・忠実義務違反による損害賠償請求で。
株主代表訴訟を提起したのだと。
大阪地裁は、継続性の原則違反を例外的な場合に限ると判断した。
高裁も、これを基本的には踏襲する判決だった。
弥永教授によると、過去、圧縮記帳すべきか認める見解は商法では有力だったが。
1980年代以後は、圧縮記帳すべきでない、が多数説になったのだと。
大阪高裁は、これを踏まえて、正当な理由によらない会計方針変更と言えないと。
その際に業種別監査委員会報告29号が、影響を与えたとの指摘がある。
なお、国際会計基準での繰延収益処理つまり負債計上処理について。
株主は正当処理と主張したが、当時の法務省はそうは認めていなかったと。
なんか、ふーん、それで、なんですよね。
私の読み取りが甘いんだろうな。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 3月からファミマとローソン計1万店で雑誌販売終了 書店ない地域で〝難民〟発生か_産経新聞(2025.02.13)
- ページ切り取りやぬれた本、図書館であえて展示…増加しているのは付箋を貼ったままの返却_読売新聞(2025.02.07)
- 「失敗の本質」の野中郁次郎さん死去、89歳…一橋大名誉教授の経営学者_読売新聞(2025.01.27)
- 伊丹敬之先生は井尻教授と接点があった_企業会計(2024.11.30)
- 大昔にある税務雑誌の購読を止めた件(2024.10.07)
「会社法」カテゴリの記事
- 東芝不正会計の株代訴訟で株主一転敗訴 買収で「原告の資格失った」_朝日新聞(2024.03.13)
- 米国の議決権助言会社の言うがままに反対票を投じるのってなぁ_NHK(2023.06.14)
- イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計(2023.01.01)
- IT大手に本社登記要請 事業実態把握へ監視強化_産経新聞(2022.04.18)
- 新生銀が買収防衛策を検討 SBIの買収阻止へ「ポイズンピル」_朝日新聞(2021.09.15)
「法律全般」カテゴリの記事
- 最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授_産経新聞(2025.02.15)
- サルコジ元仏大統領に電子ブレスレット装着 汚職事件で有罪確定、大統領経験者で初_産経新聞(2025.02.14)
- 「記憶にないから分からない」主婦殺害事件、初公判で無罪主張 発生20年後にDNA一致_産経新聞(2025.02.04)
- 相続した土地100坪もいらないのに手放せない 「ただでいいから使ってほしい…」63歳苦悩 要件厳しい…国が引き取る制度の実態_信濃毎日新聞デジタル(2025.01.17)
- クラウドサービス提供会社に独禁法違反で排除措置命令 公取委_NHK(2024.12.31)
「企業会計」カテゴリの記事
- 伊丹敬之先生は井尻教授と接点があった_企業会計(2024.11.30)
- freeeはミスをしない人前提のソフトなのかな(2023.12.18)
- 米国FASB公表新リース会計ウェビナー_CDH会計事務所(2022)(2023.08.28)
- イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計(2023.01.01)
- 大日向先生がメチャ優しい(2022.08.19)
コメント