別居中かかった養育費を請求できるか
別居中かかった養育費を請求できるか
最近調べて、へーと思ったので、メモ。
△
ケース61 別居中かかった養育費を請求できるか
(略)
本来、扶養の問題は、現在ないしは未来の事柄で、すでにもう生活してきてしまった過去の扶養料を請求することは許されないはずのものです。
しかし、そうした理屈通りのことを貫けば、あなたの夫のように生活費用の分担ないしは妻子に対する扶助(生活保持義務)を怠っている者は、そうした態度をきめこんでずるずると引き延ばしている分だけ義務を免れて不当な得をする一方、あなたのご両親のように、身の回りの者が事実上責任を持たなければならないようになって、はなはだしく不公平・不正義なことを認める結果になってしまいます。
しかしそうだからといって、無条件に、扶養義務者が知らない間に溜まっていった過去の扶養料を、一時に負担しなければならないというような結果になっては扶養義務者に酷でもありましょう。
そこで、だいたいの判例や学者は、その調和を義務の履行を請求した時点を標準とすることによって解決しようとしています。つまり、あなたは扶養義務者なのだからその義務を履行しなさいと請求した時点以後のものは、それから半年後、一年後であっても請求できるとするのです。
(略)
「夫婦・親子(改訂第2版)」菊本治男
法学書院 1988年12月10日第1刷発行
P200~201
▽
で、これは、恐らく、大審院明治34年10月3日判決が元なのですね。
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換言すれは原院の判示は別段の事情例之は遅滞に付せられたるに因り支払ふへき如き養料に非らされは過去に関するものヽ請求を許さすと云ふに在りて絶対に過去の養料請求権を否定したるものにあらさるなり
蓋此解釈たる頗る扶養の意義に適当するものと云ふ可し
何となれは扶養の程度は其権利者か之を要する当時の生活の状態と其義務者の身分資力とを斟酌して定むへきものなるに因り若曽て請求を受けさりし過去の養料と雖も又支払ふへきものとせは啻に其程度を定むるに於て困難を見るのみならす其請求なくして時日を経過したる事実は扶養権利を認めたる本旨に反するを以てなり
▽
原文はカタカナで、文の間が繋がっていて。
読みにくいこと、この上なしですが。
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