裁判官はこう考える 弁護士はこう実践する 民事裁判手続
裁判官はこう考える 弁護士はこう実践する 民事裁判手続
帯についている中村真弁護士のマンガを見て、衝動買い(おいおい)。
裁判官はこう考える 弁護士はこう実践する 民事裁判手続
柴﨑哲夫・牧田謙太郎
学陽書房 2017年9月25日初版発行
民事訴訟の基本が分かっていなかったので。
今回、処分権主義の内容は初めて知りました。
当事者主義からの派生だというのは、弁論主義と同じだそうですが。
「処分権主義は、当事者が訴訟の開始・訴訟物の特定・訴訟の終了・紛争の実体的解決についての処分権能を有し、これらについて自由に決定できることを指すが、その帰結として、請求の趣旨及び訴訟物をどのようなものとするかについては、原告がすべて決めることになる。(P4)」
なるほど、だから、裁判例を読むと、最初に出てくるわけだ。
戦う土俵の範囲を決めてしまうのだから。
裁判官が、過去の失敗例を率直に語っているのは、結構驚き。
いや、普通、現役だったら自分のミスは語れないのかと思うのですが。
これって、裁判官がそういうものなのか。
この方が特別なのか、分かりませんが。
ただ、新米だと、裁判官はどういうミスをしがちなのか分かる。
審理のために必要なのは、主要事実なのだとの思い込みが。
間接事実の範囲を極めて狭くとってしまった失敗。
前任の裁判官が釈明を求めて答えていた話を完全に無視した格好で。
控訴人はかなり怒っていたと(P8)。
認定すべき事実を、瞬間的な点で捉えてしまう失敗であり。
時間的幅をもって、線として捉えるべきが、若い裁判官は少なからずミスすると。
また、別の例では、請負工事の代金請求の事案について。
原告が、被告による契約締結意思表示をどうしたかの明確化がされず。
契約書が作成されていないことも踏まえて、その先の事実認定に踏み込まず。
請求原因事実の主張自体が失当だと、原告を敗訴させてしまったと(P10)。
ビックリです。
原告が的確に請求原因事実を主張しない、あるいはできない場合。
裁判所はそれ以上審理に立ち入らず、原告を敗訴させるのもやむを得ない。
そのように思い込んでいた部分もあったと。
しかし、これは、弁論主義と要件事実理論に拘泥過ぎるためのミスだろうと。
第三者が紛争解決するには、当事者間の紛争内容・過程の把握が必要であり。
事実認定の重要性に鑑みて、弁論主義・処分権主義の修正が必要なのだと。
まだ読み始めたばかりですが。
興味深く読んでいます。
しかし、中村真弁護士のマンガを帯だけにするのはあざとい。
いや、あったから買うんですけどね。
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