司法研修所民事裁判教官室見解は一般条項も支離滅裂(ゼロからマスターする要件事実)
司法研修所民事裁判教官室見解は一般条項も支離滅裂(ゼロからマスターする要件事実)
〇ゼロからマスターする要件事実
第23回 一般条項
岡口基一(東京高等裁判所判事)
司法研修所民事裁判官室の見解を批判する第二弾という内容。
ということで、ブログでの見出しは変えています。
さて、公序良俗違反、権利の濫用、過失相殺という3つを。
一般条項の御三家と呼ぶそうです。
何故、これがいきなり登場するかと言えば。
前回扱った、総合型規範的要件の話と、まるっきり、議論の状況が同じだから。
つまり、学者と実務の立場に対して、司法研修所民事裁判教官室だけが異質。
しかも、理論の体系的整合性に拘ったので、支離滅裂になっていると。
一般条項は、裁判官が、職権で、当事者の主張立証に関係なく扱える。
覚醒剤売買は、当事者が公序良俗違反の主張をしてなくても、職権で無効として、棄却できる。
まぁ、当然ですが、主張していないから、認められる筋合いじゃないわけです。
だから、学者は、事実要件とは別だから、弁論主義の適用もないし、主張立証責任の問題もないと。
ところが、民事裁判教官室では、一般的条項の評価根拠事実も具体的事実だと。
だから、要件事実=主要事実になると、総合型規範的要件同様に考える。
そして、主要事実は弁論主義が適用され、当事者が主張していない事実については。
一般条項の評価根拠事実にはできないと、考えるのだと。
で、まぁ当然の如く、「あれは実務とは別」と裁判官からも言われてしまって。
学者からも、実務からも、異端扱いされているのだと。
なんか、すごく意外です。
税理士頭だと、民事裁判教官室って、税務大学校の教官達と同視できます。
彼らが、実務で全く使えない理論を開陳するとは、とても思えない。
というか、そうなったら、もう終わりですが。
民事裁判官室というのは、意に介さないのですかね。
で、次回と次々回では、要件事実論が生まれた頃の裁判実務を俯瞰するそうです。
「難しい話をちょっと離れて」とあるので、著者もいい加減辟易していたのかな。
昔を回顧するのは、どうしてこんなことになったのかとの疑問に対して。
答えてくれるのかもしれませんから、期待しておきましょうか。
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