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2017/10/25

司法研修所民事裁判教官室見解は一般条項も支離滅裂(ゼロからマスターする要件事実)

司法研修所民事裁判教官室見解は一般条項も支離滅裂(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2017年11月号(ぎょうせい)より。

〇ゼロからマスターする要件事実
 第23回 一般条項
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 司法研修所民事裁判官室の見解を批判する第二弾という内容。
 ということで、ブログでの見出しは変えています。

 さて、公序良俗違反、権利の濫用、過失相殺という3つを。
 一般条項の御三家と呼ぶそうです。

 何故、これがいきなり登場するかと言えば。
 前回扱った、総合型規範的要件の話と、まるっきり、議論の状況が同じだから。

 つまり、学者と実務の立場に対して、司法研修所民事裁判教官室だけが異質。
 しかも、理論の体系的整合性に拘ったので、支離滅裂になっていると。

 一般条項は、裁判官が、職権で、当事者の主張立証に関係なく扱える。
 覚醒剤売買は、当事者が公序良俗違反の主張をしてなくても、職権で無効として、棄却できる。

 まぁ、当然ですが、主張していないから、認められる筋合いじゃないわけです。
 だから、学者は、事実要件とは別だから、弁論主義の適用もないし、主張立証責任の問題もないと。

 ところが、民事裁判教官室では、一般的条項の評価根拠事実も具体的事実だと。
 だから、要件事実=主要事実になると、総合型規範的要件同様に考える。

 そして、主要事実は弁論主義が適用され、当事者が主張していない事実については。
 一般条項の評価根拠事実にはできないと、考えるのだと。

 で、まぁ当然の如く、「あれは実務とは別」と裁判官からも言われてしまって。
 学者からも、実務からも、異端扱いされているのだと。

 なんか、すごく意外です。

 税理士頭だと、民事裁判教官室って、税務大学校の教官達と同視できます。
 彼らが、実務で全く使えない理論を開陳するとは、とても思えない。

 というか、そうなったら、もう終わりですが。
 民事裁判官室というのは、意に介さないのですかね。

 で、次回と次々回では、要件事実論が生まれた頃の裁判実務を俯瞰するそうです。
 「難しい話をちょっと離れて」とあるので、著者もいい加減辟易していたのかな。

 昔を回顧するのは、どうしてこんなことになったのかとの疑問に対して。
 答えてくれるのかもしれませんから、期待しておきましょうか。

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