民法の基礎から学ぶ民法改正
民法の基礎から学ぶ民法改正
民法の基礎から学ぶ民法改正
山本敬三
岩波書店 2017年9月26日第1刷発行
あと書きまで入れても、170ページほどの本です。
それで、民法の基礎・歴史から、改正事項を説明するので。
当然ながら、網羅的に説明するような本ではありませんが。
改正民法の特徴を大きく2つに分けて説明しています。
[1]民法の透明化
[2]民法の現代化(社会・経済の変化への対応)
このうち[1]は更に、
[1-1]規定の明確化
[1-2]基本原則の明文化
[1-3]確立したルールの明文化と合理化
に分かれます。
[1-1]は、理解しづらい用語あるいは条文の書き方について。
明確化したものだ、との説明。
債権の準占有者というのを、受領権者としての外観を有する者に。
というのが典型例だと。
瑕疵を契約不適合に変更したのも、同じ趣旨があるが。
単に表現を変えただけでなく、考え方も変更していると。
また、無権代理人の責任規定や組合の業務の決定・執行規定も。
分かりづらいので、明確化を図ったと。
[1-2]は、契約自由の明定ですね。
今までは、教科書にしか出てこないという不思議を解消した。
[1-3]は、意思無能力無効の明文化など。
判例法理などを条文化したものだと。
ビックリしたのは、改正法621条の賃借人の原状回復義務。
なんと、今まで条文なかったのですね。
そして、[2]は、契約の成立時期・法定利率・消滅時効などの改正。
定型約款の導入や事業に関する債務の個人保証規制など。
個人的にへーと思ったのは、請負契約の解除。
旧635条請負人の担保責任規定は削除で、解除の一般原則準拠に。
昔は、建物その他の土地の工作物は、取り壊しは社会の損失だから。
解除をさせないことにして、産業を保護するとの考え方があったと。
社会・経済の変化に対応して、もう請負人に負担させて良いだろうと。
確かに、そういう時代ですね。
あと、民法改正の今後ということで、簡単に寸評があります。
これもとても参考になります。
この1冊で全て足りるという本では、決してありませんが。
個人的には、この本に出会えて良かったと思えます。
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