密教だった要件事実論(ゼロからマスターする要件事実)
密教だった要件事実論(ゼロからマスターする要件事実)
税理2017年12月号より。
○ゼロからマスターする要件事実 第24回
要件事実論が確立された頃の民事訴訟の様相
岡口基一(東京高等裁判所判事)
すみません、今回も勝手にタイトルいじってます。
タイトル長いと頭に入らないので。
さて、今回は、要件事実論の一般普及前の民事訴訟について。
一言でいえば「要件事実論はかつて密教だった」という話。
著者は、
「門外不出のものとされ、裁判官室内でも、口頭で先輩から後輩へと伝授されました。」
といっていますが、要するに、秘儀、アルカナだったの意味でしょう。
京極純一教授の「日本の政治」の顕教・密教の区別なら。
明らかに、密教だったということになります。
かつての民事訴訟は、長いので有名でした。
それが、平成8年民事訴訟法改正で一変した。
五月雨審理と呼ばれ、ダラダラ続いていた。
それを、争点整理主義で合理化した。
その程度は、以前聞いたことがありました。
しかし、その本質は、秘儀である要件事実論の公開だったのですね。
つまり、密教を顕教にしてしまったのだ。
なるほど。
以前は、弁護士は、事実の主張をダラダラするだけ。
裁判官がなにを考えているのかも、さっぱりわからない。
勝てそうか、負けそうかも、全く見えない。
それは、裁判官が、最後の最後に判断するから。
事実の主張が結了してから、ブロックダイアグラムで整理。
見方によっては、裁判官のフリーハンド状態だったと。
そして、それを支える価値観があったと。
ドイツの法諺で「汝は事実を語れ、我は法を語らん」と。
事実の主張以外は、全て裁判官が行うのだと。
言っていいのかと思うのが。
「裁判官と弁護士の能力差の問題もありました。」と断言。
まぁ、情報の非対称性がある典型例だったのでしょうね。
一部の先進的な裁判官(西口裁判官)を除けば、「独善的な裁判実務」を当然視していたと。
なるほど。
ただ、そうか、と思う反面、疑問もわいてきました。
要件事実論で、当事者達全員に、筋道が見えやすくなったはずなのに。
なぜ、いまだに、謎の裁判例が登場するのだろう。
制度の目指した方向から考えると、勝ち筋、負け筋は見える筈。
いや、見えるという人もいるのでしょうけれど、本当にそうなっているか。
かつて謎の論理で「国破れて三部あり」の地裁判決を連発した裁判官。
高裁判事になって、デンソー事件でまたも謎判決を出して。
それらは、僅かな例外を除いて、全て高裁や最高裁で逆転してしまった。
これって、何を意味するのか。
次回は、平成8年民事訴訟法改正以後の状況変化が語られるとのことなので。
この辺明らかになるか、期待しておきたいですね。
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