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2017/11/26

ヒトは「いじめ」をやめられない その1

ヒトは「いじめ」をやめられない その1


ヒトは「いじめ」をやめられない
中野信子(脳科学者)
小学館 2017年10月3日初版第1刷発行

 小学館文庫の1冊。
 最近の小学館は、ちょっと好きになれないのですが、それはさておき。

 いじめが、生物としての本質に根ざした原理で生じることを指摘。
 これって、すごく実感します。

 アタマで「いじめは悪いこと」「いじめはやめよう」というスローガンが。
 結果を出せないのは、「不倫は悪いこと」と同じレベルだと思います。

 つまり、倫理の話は、本質的な問題解決に一切繋がらない。
 生物学的問題が根本にあることを踏まえて、ではどうするか。

 そこに辿り着く必要がある。
 これ、以前から、なんとなく実感していました。

 何故なら、私自身が、過去にいじめにあったことがあるから。
 自分でも、ずっと考えてきたことと重なる部分があると思いました。

 でも、脳内麻薬が発動して、共感というブレーキがきかなくなる。
 抑止策で、自分が相手を攻撃すると損する仕組みが必要だ、との踏み込みは。

 言われて初めて、なるほどでした。
 私の場合、人間以外の生物でもいじめはあるという記事を見ていた程度。

 本書は、まさに脳科学者としての視点でどんどん切り込みます。

 中でも、スタンフォード大学監獄実験の話とかは怖いですね(P65)。
 実験者がのめり込み、恋人に中止勧告されるまで、止められなかったと。

 まさに暴走し始めると、誰も止められなくなる。
 社会的動物としての人間の怖さを示しています。

 もう1つ怖いと思ったのは、ザ・サードウエーブ実験(P158)。
 ナチスが何故台頭したのか、そのナチスは選挙で選ばれたとの矛盾。

 これを教師が実験で生徒に示そうとした結果。
 この実験は、学校中で広がるのに1週間かからず。

 更には学校外に広がっていったと。
 その過程では、暴力が振るわれる、挨拶しない生徒の密告。

 いや、まさにナチスの台頭そのものが再現されたというべき状況に。
 この教師が暴走を止めるために何をしたか。

 是非読んでみて下さいというところ。

 ただ、著者は勇気あるなと思いました。
 生物的な問題だというと、非人間的だと言い出すアホが湧くからです。

 実際、amazonでも、まさにこの種のアホ批判が出ています。
 まともに読めていないか、日本語能力ないか、思い込みで読むかですが。

 そこを踏み越えて、本書では、解決策を提示している。
 その1つは、仲間意識を不必要に高めないことだと(P90など)。

 続きます。

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