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2018/01/15

年をとるほど賢くなる「脳」の習慣 その1

年をとるほど賢くなる「脳」の習慣 その1


年をとるほど賢くなる「脳」の習慣
バーバラ・ストローチ
浅野義輝(訳)
池谷裕二(監修・解説)
日本実業出版社 2017年12月10日初版発行

 結論から言えば。
 自分が中年期に入りつつあるなら、いままさに読むべき本です。

 原題は、

 The Secret Life of the GROWN-UP BRAIN
The Surprising Talents of the Middle-Aged Mind

 最新の脳科学研究で分かってきた事実について語るわけですが。
 中心テーマは、中年の脳(文中では「中年脳」)。

 確かに中年になると、脳の処理速度の遅延は起きるし。
 名前をしょっちゅう忘れたりということは起きるけれど。

 脳は中年期に能力の頂点に到達し、その後も長く頂点を維持する。
 中年脳になると、再構成が始まり、行動や考え方も変化し始めると。

 脳は、知識の層が絡んだ繋がりのパターンを蓄積することで。
 状況類似点を即座に認識して解決策を見出すのだと。

 簡単に言えば、世界を達観できるようになるということで。
 「バラバラだったカケラがまとまってきた」ことでよい仕事ができると。

 中年脳は、全体像から要旨をつかんで素早くシンプルに結論を出せる。
 記憶より推測をよく使うようになる。

 もはや詳しい記憶に頼らず、本能的な直観で判断を下すようになる。
 推理・判断・決定の性質が変わってしまうのだと。

 いや、認知症の発症が待っているのではないかとの疑問には。
 脳に生じる深刻な機能欠損は、70代後半まで発現しないと。

 更に、多くの場合、70代後半を過ぎても発現しない。
 認知症は個別の疾患であり、高齢になっても必然ではないと。

 しかし、その後を決めるのは再構成が行われる中年期である。
 そこでは、生まれつきの天才的素質でなく、計画的訓練が重要だと。

 ある技能を徹底的に繰り返し、失敗に細心の注意を払うのに専心する。
 そのような訓練が、パターンを識別する中年脳の活用を可能にする
と。

 これは、チンパンジーには起きない人間の特性だ。
 違いは、脳の回路網をまとめている白質を構成するミエリンの増加。

 ミエリンは、電線の絶縁体のように、神経間の繋がりを生じさせる。
 信号は、ミエリンで覆われる脳繊維を高速伝達し、途中で漏れない。

 このミエリンにより、回線容量の拡大現象が脳細胞に生じて。
 脳の処理能力が、なんと3000パーセント増加する。

 「賢い中年の成人になるために必要な脳生物学的な要素」。
 それが、ミエリンの全般的な蓄積なのだ。

 大事なことはミエリンは意識的に使うことで増加し、効率を増すと。
 伝達速度と回線容量アップには、ミエリンが必要になる。

 この中年脳は、知恵を高いまま維持する水平状態を長期間続けて。
 65歳前後でピークに達し、最も賢明な状態になる。

 ミエリンは、毒素に特に弱く、小さな劣化が40代で始まる。
 認知領域の衰えに繋がっている可能性もある。

 しかし、運良く、40代台50代で概ね健康であれば。
 その後も効率よいミエリン修復の保守機能を持ち得る。

 そして、保守機能停止まで、ミエリンは60代半ばでも増加する。
 特に、前頭葉のような重要な領域で増える。

 ミエリンは、行動つまり生き方が脳の構造を変化させる。
 中年だから衰えるという世間の社会通念は押しつけだと。

 面白いのは、利己的性質の度合いとの相関性が顕著だったこと。
 50歳と80歳で賢いと判断された人は、利己的度合いが低かったと。

 自分以外のことに集中する人が最も賢かったのだと。
 利己的な人は、知恵を尺度とした成績が非常に低かったのだと。

 続きます。

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