間違いだらけの不動産投資
間違いだらけの不動産投資
アセットマネジャーの着眼力
間違いだらけの不動産投資
税理士や金融マンの方々にも
佐々木重徳
中央経済社 2018年3月15日第1版第1刷発行
著者は、不動産鑑定士で税理士でもあるのですね。
融資まで含めた不動産物件全般の実務経験者。
まさにアパマン投資の問題点が騒がれる今、時宜を得た出版でしょう。
「終了プロジェクト」がテレビ取材されたレオパレス21やら。
更には新春早々大騒ぎになった「かぼちゃの馬車」問題。
これ以上、被害者を出さないためには、今まさに読むべき本でしょう。
書いてある内容もごく真っ当で、ほぼその通りという感じ。
ただ、構成の組み立ては、もう少しなんとかならなかったか。
第2章などは、不要あるいは後ろでおまけにすべき内容じゃないか。
また、第1章での「アパート経営のメリット・デメリット」であれば。
まとめのチェックリストを付けてあげると、読者目線だったと思う。
賃料相場を確認することの重要性は、本文などで触れてあるものの。
もっと強調しないと、話の流れが見えにくい。
「地主による「アパート経営」の最大の問題点」も。
書いてあることは真っ当なのですが、表現が回り道過ぎる嫌いがあり。
もっとストレートに、事業投資の視点から見てない問題点がある。
それが、土地に縛られた発想に繋がっていると指摘した方が良かった。
などとちょっと不満は残りますが、全般的には真っ当な内容。
以下、ざっくり概観してみると。
収益還元価値・利回りの考え方を語る第3章。
事業投資という視点を前面に出せば、まさに本丸の1つ。
これを踏まえて、以下は業者の騙し話法とその問題点の列挙か。
まず、物件の利回りを検討する第4章。
第5章はフルローンでの物件購入・レバの問題点中心ですが。
相談者大山さんの発言に、幾つかそうだよな、がありました。
問題点がありつつも、脱出に成功した人なわけですが。
何故なんとか回っていたかの部分の言葉に、個人的共感がありました。
第6章はワンルームマンションの問題点。
伏せ字だが、全国的知名度ある業者の悪評が出てくる。
第7章は高級賃貸マンションの問題点。
第8章は、事務所・ビジネス系の用途での利用の問題点。
これらは、類書で扱っていない本書ならではの箇所の1つでしょうね。
セクションの取り方を工夫した方が良かった気がします。
第9章はリノベの問題点で、これもあまり他の書籍で触れてないかも。
ただ、もう少し手厚く書いて欲しかったな、という印象。
第10章は税務の話など雑多な話を入れた感じですが。
大家力を身につけろという話は、総論に入れた方が良かった。
ということで、やはり構成に推敲が欲しかった部分はありますが。
多分、これを読むと、いろいろ判断が付くようになるでしょう。
読後になると、例えば、下記の記事を見てどう思うか。
相続税対策に貸家経営 徳島県内で新規着工増加
徳島新聞 2017/11/10 14:05
徳島県で、業者の「実需に沿った供給計画を立て」が信じられるか。
そういう危機感が持てれば、第1章は理解できたことになるでしょう。
いや、当事者で理解できたら、遅すぎるのでしょうけど。
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