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2018/05/21

会計基準の考え方(西川郁生)

会計基準の考え方(西川郁生)

 歌を忘れたカナリアが、歌を思い出すために買った本の1つですが。


会計基準の考え方
~学生と語る23日~
西川郁生 税務経理協会 平成30年4月20日初版発行

 ASBJ元委員長でもある西川先生の本です。
 元々は、週刊経営財務に連載されたものをまとめたものだと。

 最初の方は、結構つまらないことが書いてあって(失礼)。
 正直、このあたりで読むのを止める読者が結構いそうだと。

 いや、当時からの議論や交渉経緯などに興味ある人には。
 結構意味ある話が続くのですが、ごく少数だろうなと。

 しかし、第5日目「収益認識」あたりから、なるほどが。

・「契約資産・契約負債の発生と消滅を持ち出して、そこをフローの起点にする」

・「履行の前には売上を認識しないということは何も変わっていないけれど、IFRS第15号や日本の新しい収益認識基準は「契約の識別」つまり、発生した契約を捉えるところから始まるのです。」

・「木村君 収益計上は企業が履行に伴うリスクをクリアした時点ですが、履行義務の発生から抑えるのですね。」

 そうか。
 今回の基準の大きな特徴は、5ステップのステップ1「契約の識別」を会計上の把握対象としたことなのだということですか。

 もちろん、財務諸表上には、表現されないわけですが。
 実務上は、履行義務の発生から仕訳を考えることになるのだと。

 なるほど。
 これで、ようやく最近読んだある別稿の記述が繋がりました。

 読んだのは、「早わかり解説 『収益認識に関する会計基準』とは」片山智裕(弁護士・公認会計士)[ビジネス法務2018年3月号]ですが。

 「2 双務契約から生じる債権・債務の会計処理」において。
 債権・債務の両建処理から仕訳を計上していくわけです。

 最終的には、伝統的な仕訳に収斂していきますが。
 義務の内容区別により認識時期が分かれていくというのが片山氏の説明。

 記事を読んだ際には、「双務契約だから両建てに決まってるじゃん」と思いましたが、私の浅慮でしたね。

 なるほど。
 会計の把握がここから始まるというのが、エポックメーキングなのですね。

 ようやく納得できました。
 これ、今まで読んだ他の本には書いてなかったですね。

 ただ、そこまで書いてあっても。
 筆者の実務認識は、正直、かなり甘い気がします。

「ステップ1の契約の識別に関しては、契約と将来の収益の繋がりに関わるもので実務的に迷うことがない場合が多いと思います。」

 いや、これが簡単なら、建設業界は迷わないよなと。
 実際、契約書が常に先行するなんて、あの業界にはないんですから。

 で、工事進行基準も、整合的に説明できるとの話がありますが。
 正直、あまりうまく説明できていない気がします。

 まだ読み始めたばかりですので、全てを読んでの書評にはなりませんが。
 最初で挫折しそうな人の多い本ですので、得られるものもあるよと。

 自分の記録という意味で、残しておきます。

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