第1の要件事実(ゼロからマスターする要件事実)
第1の要件事実(ゼロからマスターする要件事実)
○ゼロからマスターする要件事実第31回
第1の要件事実
岡口基一(東京高等裁判所判事)
要件事実が、亜種も入れれば3種あるという話の続き。
簡単に言えば、「第1を他と一緒にしてくれるな」という話。
裁判官が、当事者主張を整理して書き込む当事者の主張欄。
弁論主義の立脚点でもあり、漏れなく書かれる必要がありますが。
これは、当事者主張を、生のまま書き込むわけではなく。
裁判官による取捨選択、補正等が行われることになる。
この作業が「主張の摘示」で、ここで書かれた事実が要件事実。
これこそが、第1の要件事実になる。
弁済の抗弁の話で、小切手の交付を例に挙げている。
単なる小切手の交付だけでは、判例により弁済と言えない。
そこで、これだけであれば、摘示ができないことになる。
しかし、支払保証とのセットであれば、合せ技で摘示が可能になる。
また、ある事実の主張をしている場合に、その前提事実があれば。
その前提事実の主張も当然として、黙示的な主張の認定もある。
逆に、当事者が、契約の詳細を主張していることは多いわけだが。
契約成立に関する部分だけを抽出し、残りはカットすることもある。
つまり、取捨選択や当然前提部分の補充などが作業で入るわけだ。
陳述書面全体から、データを拾って、フィルターを掛ける。
その際に、はじくものや、結合するもの、補充するものがあると。
これが「主張の認定」であり、「法的判断を伴う高度な能力を要する作業」なのだという。
個人的には、そのうち、AIのチェックや支援対象領域になりそうな気がしますが、それはさておき。
亜種である第2の要件事実は、民訴理論との整合性を保つ試みだが。
実務では使われないものを生み出してしまったことになるし。
ロースクール発祥の第3の要件事実は、例題中の事実を振り分けるだけ。
つまり、判断による加工処理がない単純なものだということになる。
更に、第1の要件事実における加工は、この先があり。
法的に正しい表現に修正する必要がある、というのが次回だそうです。
恐らく、読者のためでしょうけど、部分的に前回以前の振り返りがあり。
かえって、冗長になっている部分が多いですね。
連載故の宿命なのかもしれません。
書籍にする際には、この辺の贅肉はそぎ落とすのでしょう。
いや、贅肉の塊の私が言うのもなんですが。
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