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2018/07/27

ロースクールの「要件事実」教育は中学校の理科レベル(「税理」)

ロースクールの「要件事実」教育は中学校の理科レベル(「税理」)

 ぎょうせい月刊「税理」2018年8月号より。

○ゼロからマスターする要件事実 第32回
 司法研修所の要件事実教育とロースクールの「要件事実」教育
 岡口基一(東京高等裁判所判事)

 以前司法研修所で教育されていた「第一の要件事実」とは。
 両当事者の攻防の主張中から、裁判官が抽出・加工したもの。

 ここには、法的判断が入っており、主張事実が構成要件に該当するか。
 認定やあてはめの評価に至るまで、法的な補正まで入れてある。

 法的に間違っているものは、書き直しまでやる。

 消費貸借契約成立主張で、要物契約たる点失念した主張が少なくないが。
 そこを、主張の摘示の際にリライトしているのだと。

 これが高校物理なら、「第三の要件事実」は中学校の理科レベルだと。
 そのくらい、要する知的能力の違いがあるけれど。

 ロースクールでは、平然と要件事実教育をやっていると言っている。
 事例から抽出した事実を請求原因事実・抗弁事実に分類するだけなのに。

 更に問題は、判決書の「当事者の主張」欄の作成ではない点。
 「要件事実」を使って、訴状や答弁書を作成する練習をしている。

 しかし、訴訟や答弁書って、本来、要件事実だけを書くものではない。
 契約の成立主張には、成立要件だけ書けば済むわけではなく。

 成立要件以外の契約の主要条項を網羅的に書くのが、通例だと。
 これが、そのまま司法試験予備試験の出題に反映しているのだと。

 ま、この辺は、今までの説明を読んでいれば、想像つきますね。
 ここまで、特に、新奇な知見はなく。

 ビックリしたのは、

 ”「第三の要件事実」を教えるための教科書が一つもない”

 との指摘。

 授業の教材は、司法研修所のものを使うのなら、そりゃ混乱しますね。
 教える教員は、「主張の摘示」という言葉の意味も分からないだろうと。

 そうなんですか。
 実務家教員って、そんなレベルなんですかね。

 恐らく、言いたいことは、ロースクール教育が平板な2次元だとすれば。
 実務で要求されるのは、立体的な3次元構造の理解ということでしょう。

 順序立てて説明すれば、意味がないとも思えませんが。
 ただ、恐らく、両者の混濁を意図的にやっていることを批判しているのでしょうね。

 で、過去に、司法研修所民事裁判教官室が、ミスリードな説明をしたことがあるそうです。

 そこでは、要件事実と主要事実が同義であるように読めると。
 結果、要件事実=「第三の要件事実」に手を貸したような話。

 次回以後で、そのあたりを説明するのだそうです。

 なんか、読んでいると、第三の要件事実が悪いとか。
 ロースクールが悪いとかいうよりも。

 大学という存在が、悪しき存在になりつつある。
 それが根本にあるようにも思えるのですが、それはうがち過ぎか。

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