教育システムの崩壊(ゼロからマスターする要件事実)
教育システムの崩壊(ゼロからマスターする要件事実)
月刊税理(ぎょうせい)2019年1月号より。
○ゼロからマスターする要件事実 第37回
教育システムの崩壊
岡口基一(東京高等裁判所判事)
たぶん、法曹関係の方には常識なんでしょうけど。
「ところで、今は、ロースクールに行かずに予備試験経由で司法試験に合格するのが『勝ち組』となっています。」(これは事実認定ですね)
「予備試験に合格できなかった学生は、やむなく、2~3年の期間と、何百万円もする費用をかけて、ロースクールに行きます。今や、ロースクールに入るのは、『負け組』とされています。」(これは伝聞表現ですね)
という評価を念頭に置きつつ、それぞれで要件事実教育はどうかと。
まず、予備試験経由での司法試験合格組は、新問研を読み飛ばしして。
なんとなく「要件事実」を理解して、それで終わり。
今の司法試験は「要件事実」の理解なくても、実体法理解で解ける。
そして、司法修習や法曹になった後は要件事実を学ぶこともない。
そして、ロースクール組は、第4の要件事実を学んでいる。
これは、具体的事実ではなく、抽象的要件のこと。
途中、具体的な事例の検討段階では、「要件事実」で事例分析する。
学者からは、抽象的要件で、実体法を教えるのに都合が良いツール。
ところが、最後の検討結果を示す際には、急に話が変わって。
要件に当てはまる具体的事実を、「要件事実」と称するのだと。
司法研修所の見解に合わせるためなんだそうですが。
著者いわく、「まさに要件事実の『ダブルミーニング』です。」
私の感覚だと、コウモリ野郎とか股座膏薬と言うべきなんですが。
それはさておき。
教育の現状は「要件事実」の意味からしてバラバラで。
状況は、目を覆わんばかりだと。
司法改革した筈が、教育システムはとてつもなく悪くなったし。
大改革直後だけに、この状況は当分続くであろうと。
なんか、法曹の皆さんは不幸なんですね、という感じですが。
私の感想は「勝ち組も負け組も不幸な要件事実教育の混乱」てところ。
次回は、「当事者の主張欄」が葬り去られた経緯だと。
以前、少し出てきた話ですが、もう少し腰入れて語られるのでしょうね。
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