テンプレートとしての「当事者の主張」欄活用こそが本当の要件事実だった(ゼロからマスターする要件事実)
テンプレートとしての「当事者の主張」欄活用こそが本当の要件事実だった(ゼロからマスターする要件事実)
月刊「税理」2019年2月号より。
○ゼロからマスターする要件事実 第38回
法曹自慢の「テンプレート」
岡口基一(東京高等裁判所判示)
また、原題を勝手にいじってます。
すみません。
法曹がプロとしての能力を問われるのはどこか。
それは、事実を法的に再構成することであると。
訴訟物である請求権を軸として。
生の事実を、発生原因事実・発生障害事実・消滅原因事実に再構成。
そして、その前提として、民法が完全にマスターできている必要がある。
しかし、現状では受験生のレベルの問題や要件事実教育の問題がある。
この点、昔の法曹は、事実の法的な観点からの再構成について。
「当事者の主張」欄というテンプレートを活用してきた。
これは過去の法曹の智の結集であり、本当の要件事実であると。
だからこそ、これを「秘密兵器」だとも著者は表現しています。
テンプレートを埋めさせてみれば、新任判事補の能力が分かり。
弱点もまた明らかになり、指導も容易であったと。
更に、平成8年民訴法改正で、当事者の主張欄の作成者について。
裁判官のみが作成するのでなく、当事者代理人も関与することになり。
いわば理想的な状況が到来することになったと。
ところが、現在では、この磨き上げた自慢のテンプレートはほぼ活用されていないと。
それが何故なのか、捨て去るに至った経緯を詳しく説明するのが次回と。
なんか、なんとなくですが。
みんなでやれば発想で、責任持って筋道書く人いなくなったとか。
そんなオチが予想できるのですが。
果たして、どうなんでしょうね。
で、判決文は条文を用いた判断分岐のプログラム文であるとすれば。
プログラムのテンプレートがあるのは、ある意味当然ですね。
だから、なくなったというのではなくて。
明示的に見えなくなっているのが現状なのだろうと推測していますが。
なお、法曹が専門性を要求されることは2つあるとして。
1つは、既に挙げた事実を法的に再構成する能力だとしつつ。
もう1つ、書証を中心に、法曹のルールに従い事実認定することだと。
裁判所ではルールに従って公平に事実認定することが重視されていると。
これが、判決文がプログラムだと捉えた場合のデータ整序の問題。
いや、私の勝手な理解ですが。
傍論的に挙げてありましたので、そのうちこれも扱われるのでしょうか。
そういえば、最近、元編集者の方に話をお伺いする機会があったのですが。
元々、連載は2年間でお願いしたのだそうです。
うーん、既に3年過ぎて、4年目突入状態ですが。
まだ先は長そうな雰囲気ですねぇ。
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